預言者と預言、歴史と伝統2009/04/18 23:59

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htmy/2732834327.html
『預言者と預言、歴史と伝統』"Prophetes et propheties : Histoires et tradition"という本が届いた。著者のウススラ・フォルチィは歴史、精神世界、託宣に関するテーマの専門家とある。2004年ド・ヴッシー出版からフランス語で出版されたが、この出版社はコルジャヴァ、ベネデッティ、マギュロンヌらのノストラダムスの関連書も手掛けている。本書は、タイトルが示す通り、広範囲にわたり預言や預言者列伝の体裁を取っている。ところどころに鮮明なカラーの図版も挿入されており、ビジュアル的にも楽しめる。本の終りに索引が載っているが、細かい小見出しが一覧できるので、どんな預言が言及されているか参照するのに便利である。古代より人間が集団社会を形成するようになって以来、常に預言が人々の生活の一部に入り込んでいたといえる。

全体は四部構成。第一部「古代の預言」はエジプトやメソポタミアの神託、旧約聖書の預言者、ユダヤ教の背景など。第二部「ギリシャ人による予言」はデルポイの聖所、クロイソスの託宣、シビラの謎詩、オイディプスの神話など。第三部「中世の予言」では、15世紀の手稿520、占星術の変遷、アンテクリスト、サヴォナローラ、ピコ・デラ・ミランドラ、シモン・ド・ファレス(15世紀リヨンの占星術師)、大会合等。第四部「神の道具」は聖ヒルデガルト、ノストラダムス、マラキ、ジャンヌ・ダルク、予言主義と古きテーマの反動とある。ノストラダムスについては「伝説から現実へ」として10頁ほど。冒頭の伝記では定番の文献が参照されている。しかし、パリの宮廷に召還されたのを1556年と旧聞に依っているように、最近の成果を注意深く取り入れたように思えない。

最終節の「それでも・・・」では、的中したとされる4篇の四行詩を疑問符付きで並べている。一番末尾に最も有名な1-35の四行詩を引用し、伝統的な注釈を紹介しながら「ノストラダムス以降の4世紀半に1000篇の予言が含まれ、その何篇かが来るべき事件を予告している。それゆえ本物の予言として受け入れることも可能となる。そこから依然として予言を真実らしいこととして位置づけていない人々が、とりあえず遠い時間のなかで見つけるだろうと外挿できる」。著者が予言能力に好意的であることがわかる。

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