将棋世界5月号を読んで2009/04/04 23:31

http://www.shogi.or.jp/
将棋同好会へ出かける前、紀伊国屋に立ち寄って将棋世界5月号を買った。ざっと目を通してみると、いつもより巻頭カラーの枚数が多いような気がする。正直いってすでにインターネットで公開された記事などはあまり読む気がしない。そのなかにあって名人戦挑戦者の郷田九段へのインタビューは興味深く読んだ。大和証券杯優勝の表彰式での郷田の挨拶は、プロ意識というか職人肌的なものを感じさせる立派なものだった。最近では現代的に洗練された若手が多いが、郷田は常に本筋の手を指す居飛車の正統派といってもいい。棋理に合わない将棋のロマンから離れた戦法といって、後手番での横歩取らせや一手損角換わりに距離を置くというのは、武士道を思わせ古風な感じが好感を持てる。羽生との名人戦は是非ともいい内容の将棋を期待したい。

将棋連盟の刊行物について毎日コミュミケーションズに制作・販売を委託することが決定した。連盟の収益の基盤を堅固なものにするために様々な機構改革が進められている。女流王将戦の休止や女流育成会の改革が決定されたり、あるいはネット事業委員会でインターネットにおける将棋のコンテンツのあり方などが検討されている。ネット事業というのは、名人戦・順位戦以外これまで無料で公開されていたネット中継の有料化ということなのだろうか。将棋という文化の裾野を広げるのにタイトル戦などのネット中継は大きな役割を果たしている。それが全面的に有料のコンテンツになってしまうと将棋離れが進む懸念もある。どういう方向に落ち着くのか不明だが、ひとつ提案として支部会員の費用をリンクさせるというのも手であろう。

その他の注目記事に、特別企画の追加「指し込み2番勝負」や「ガチンコ10秒将棋」、「渡辺明物語 下」がある。トップクラスと若手の香落ちはなかなか上手が入らない。持ち時間が短い将棋なので終盤の秒読み勝負になればと思いきや、若手の終盤力はトップと遜色ないように見える。プロプロの香落ちは見た目以上に差があるのかもしれない。もっとも羽生が指せば香落ちでも下手が勝つのは相当大変な感じがするのだが・・・