インドで出版されたノストラダムス予言集2009/11/08 22:42

ノストラダムスの予言集のテクストは、母国フランス、イギリス、アメリカ、ドイツ、イタリア、スペインなど欧米諸国で出版されたものが大多数である。それ以外の国でもノストラダムスに関心を持った人がいるようで手元にインドで出版された解釈本がある。インドとはいっても書かれた言語は英語である。話題の1999年に出版された"Nostradamus Future Unravelled"(ノストラダムス、解明された未来)で、副題にJaykumar D. Alandkarによる爆発的なベストセラー、神秘的で象徴的な予言集の明快で鮮やかな注釈者とある。表紙のアウトラインに、インドに対する輝かしい未来、差し迫った戦争の予言、宗教の座における混乱、世界権力の均衡の変化など、とある。著者は1927年マハラシュトラ(インド中西部)生まれ、占星術師で博学な研究者という。表紙の予言者(ノストラダムス?)は本人の雰囲気にも少し似ている感じだ。

解釈本としての構成はエリカ・チータムのものとほとんど一緒である。まえがきに、注記、ノストラダムスの呪文、謝辞とあり、本文では、ノストラダムスの伝記に続いて1巻から10巻までの四行詩がくる。序文と書簡はない。そしてアランドカールの解説といえる、占星術上の暗示と予言、カルキと大変動の時代、参考文献まで486頁ものハードカバーである。チータムの原文をそのまま転載したようなレイアウトで、各々の四行詩には著者による独自の見出しが付けられている。ざっと見ると2000年以降の年代が数多く取り込まれている。1999年発行であるから、読者の興味を引くように近未来の予言として解釈したのだろう。骨子となるシナリオは2003年から2025年にかけて第三のアンテクリスト(イスラム勢力)がヨーロッパを支配する。この事件を多くの四行詩に割り振って個別のエピソードを構成している。

そのなかで自国インドはどういった位置づけをしているのだろうか。百詩篇6-70の「偉大なシランが世界の長になる」という詩句をこう解釈している。「インドの指導者が世界連邦の大統領になるだろう。彼は神聖ローマ皇帝カール五世より優っている。」これを読むと、五島勉氏が日の国が滅亡から人類を救うと説いていた母国優位主義を思い出し笑ってしまう。実際にこの解釈を信じて予言集にインドの輝かしい未来を待望している読者はいたのだろうか。