第22期竜王戦第四局は渡辺が勝って六連覇を達成2009/11/26 23:38

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先ほどNHKでもニュースとして報じられていたが竜王戦第四局は渡辺が快勝して防衛、見事に六連覇を達成した。永世称号資格者同士のタイトル戦だけにもう少し盛り上がるかと期待していたが、実にあっけなく渡辺の4連勝で決着がついた。他の棋戦では挑戦者にすらなれないのにどういうわけか竜王戦はとてつもなく強い。前期の羽生戦から続いてこれでなんと無傷の8連勝を達成。今期は森内の感想にもあるように渡辺が将棋の内容でも圧倒していた。森内の不出来というよりも渡辺の充実ぶりを褒めるべきだろう。本局で一番印象に残った手は51手目の▲7四歩である。控室ではこれを「王者の一手」と称していたという。相手に手を渡して、さあやってこいと催促した強気の一手。相手に手を渡すのは実戦心理として怖いものだが、そこを踏み込んで勝利を収めたことに価値がある。

封じ手は一番人気の△8五桂。昨日の読みでは▲8六銀と逃げられると攻めが軽そうで自信がなかった。持ち歩が少ないので一方的に攻め切る展開にはなりそうもない。渡辺の感想によると、この変化は将棋世界に書いてあったそうだ。それをベースに研究し、△8五桂であれば先手が指せるとの感触を得ていたらしい。しかし森内は独自の構想を持っていた。それが48手目△2二角である。渡辺も正直に読んでいなかったと述べているが反面ありがたさを感じていたに違いない。森内の「本譜の攻めがうまくいかないのであれば、作戦自体が良くなかったのかもしれません」は、結果論としてそういえるが、実際には渡辺の攻めの構図が優れていたといえるだろう。持ち時間も約2時間ほど残しての勝利。随分と余裕のある防衛劇のようにも見えるが、午後のケーキに手をつけなかったほど難しい局面であったという見方もある。

渡辺が竜王戦で強いのはよくわかった。そろそろ次の羽生とのタイトル戦を見てみたいし、順位戦もすんなりA級入りしなければこの実績が泣くというもの。しかしながら王将リーグはすでに挑戦の目がないし、棋王戦のトーナメントも敗退している。棋聖戦や王座戦は当面先になる。まだ若いのだから竜王防衛に満足することなくどんどん実績を積んでいってほしいと思う。