第三回大和証券杯・最強戦は山崎七段が優勝2009/08/02 23:04

http://www.daiwashogi.net/
今日は公開対局で第三回大和証券杯・最強戦の決勝戦が行われた。決勝に進んだのはまさに今が旬の木村八段と山崎七段。木村は王位戦で三連勝、山崎は王座戦挑戦を決めたばかり。公開といっても対局者はオフィスの一室でパソコンを前にマウスをクリックして対局を行う。解説している場所ではパソコンの画面しか入ってこないので、対局者の様子を伺うことができない。オールドファンにとって将棋を指すということからは少々違和感があるが、ネット将棋全盛の時代では当たり前の所作なのだろう。ちなみに自分自身は未だにネット将棋を指したことがない。上のサイトでは早速オープニングの画像が優勝者の山崎に切り替わっていた。将棋のほうはリアルタイムではなく棋譜鑑賞で後から並べてみた。

山崎の将棋のイメージは不定形での指し回しに独特の嗅覚を持っている。急所のポイントにパッと手が行くような印象がある。木村はどちらかというと序盤はオーソドックスに進めて中終盤に力強い受けを繰り出すタイプ。後手番になった山崎は9筋位取りの一手損角換わりからダイレクト向かい飛車の趣向に出る。飛車を振った瞬間に先手は15手目▲6五角と打ったが、これは定跡で双方バランスが取れている。ただし、そこからどういう方針で指すか、持ち時間が短い将棋では深く読むことができないので己の感性が頼りとなる。形勢に微差がついたのは木村の69手目▲7九玉の辺りだろうか。70手目△2七角が指しにくそうに見えるが、なかなか読みの入った手で後手に流れが傾き始めた。

先手の渾身の勝負手、83手目▲5一金に対して力強く△4二玉と大将自ら敵に近づくのが山崎らしい決め手。最後は木村が粘ることなく▲4四歩と首を差し出し即詰みとなった。これで山崎は羽生王座への挑戦に弾みがついた。久保のタイトル奪取に続いて山崎もホットな関西旋風の勢いに乗れるか、五番勝負が楽しみである。

Prognosticationの訳語に関する雑感2009/08/02 23:53

http://geocities.yahoo.co.jp/gl/nostradamuszakkicho/view/20090825/1251210422
本ブログでPrognosticationに関する記事を書いたところ、sumaruさんからトラックバックをかけていただいた。その場の思いつきのメモに対し、いつもながらの綿密な調査に基づく重厚な記事には本当に頭が下がる思いである。いま出張中の大阪のホテルでこれを書いているので手元に資料を参照することができないが、少しコメントしてみたい。まず誤解のないように、単語としてのPrognosticationの訳語として「占筮」が誤訳とか不適切と申し上げているわけではない。ただラブレーのPrognosticationとノストラダムスのPrognosticationとは、自分のなかで少し違ったニュアンスがあるので機械的に同じ訳語を充てるのはどうかという疑問である。

ブログ記事のなかでsumaruさんはPrognosticationを辞書的に調べており大変参考になる。が、それはあくまでもPrognosticationという単語の語義に過ぎない。もちろん外国語であるからひとつの単語に対して一義的に訳語が決まるというケースはそれほど多くはないだろう。よって用いられている文脈において一番しっくりする訳語を選択するほかはない。だからこそこの辺りが個人的な語感の範疇に入ってくるのは全くご指摘の通りである。渡辺氏が当て字として用いている「占筮」、ここでは単に「占い」でもいいが、「ノストラダムスのPrognostication」という場合に、著作のタイトルとして「ノストラダムスの占い」という呼び方がぴったりフィットするかどうかに尽きる。

> 4.の意味合いが強いはずですが、日本語の場合、「予測」といってしまうと1.の意味合いが強い一方、4.の意味合いは薄くなってしまうようにも思います。

これはPrognosticationを切り取った場合の見方で、意味合いからすれば確かに、「占星予測」と訳すべきかもしれない。そうなるとAlmanachのほうは「占星暦」ということになろうか。ただしそこに「ノストラダムスの」という言葉を伴うと、現代ではノストラダムス自体に占星術師の総称を意味する用法もあったはずで(手元に辞書がないのであやふやな記憶なのだが)「ノストラダムスのPrognostication」を「ノストラダムスの予測」と訳出すれば自動的に4.のニュアンスも入ってくるのではないかと勝手に考えている。同様にAlmanachについても「ノストラダムスの占星暦」と訳すのでは意味が二重になり、少々くどい感触があるので単に暦でいいという気がする。

もっともこれを無理やり押し付けようとか、sumaruさんに喧嘩を売ろうとか(笑)、そんな気は毛頭ないのでちょっとした問題提起になればと、とりとめのない雑感を記したに過ぎない。