第22期竜王戦挑戦者決定戦は深浦が先勝2009/08/17 23:58

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帰宅後ネット中継に接続すると、ちょうど中盤の入口に差し掛かったところだった。深浦の攻めが続くか、森内の鉄板の受けで凌ぎ切るか終盤は手に汗握る熱戦となった。序盤は後手番の深浦が一手損角換わりで飛車先不突きの作戦を採る。この一戦に備えて深浦は相当研究してきたのだろう。先手の早繰り銀に対してすばやく6筋の位を取り26手目△7三角と飛車のコビンを狙う。飛車を1筋に追いやったが角を手放してしまうと先手は角打ちを気にせずに駒組をすることが可能となる。31手目▲5五歩は大胆な一手。本譜のようにすぐに1歩を損してしまうが3筋を押さえて5筋が軽くなり飛車が捌きやすくなるメリットもあり善悪は不明。

52手目△7七角成を放置して▲6四飛と銀を取ったのは局面を決めに行った手といえる。以下先手陣は薄くなったが後手も駒損なので攻めるしかない。ただこの局面をよく見ると、後手の大駒は自陣で手駒は金銀のみ、先手が余して勝てるような雰囲気であった。ましてや先手は鉄板流の森内である。後手が攻め切るのは容易でないと思われたが、深浦は巧みに薄い先手陣に迫っていく。終盤のギリギリのところ、上図は深浦が△2八飛成と先手玉に詰めろをかけた局面。ここで6八の地点を▲5七角と打って受けたがどうだったか。▲3八金打と一旦竜をはじいておいて△2九竜には▲1一角成△6八銀成▲4八玉△3七桂▲3七玉△4九竜▲4四桂で先手が勝てそう。

89手目▲3九金が△6八銀成をうっかりした敗着である。まだしも▲3九金打とか▲3八金打と頑張るところだろう。△3九竜と王手で金を取られては万事休す。さしもの熱戦に終止符が打たれた。これで深浦はあと1勝で竜王戦の挑戦が決まる。渡辺とは8-2、負けたのはテレビ棋戦の2敗のみで長時間の将棋では渡辺はまだ1番も入っていない。もしかすると一番の苦手な棋士ではないだろうか。そうなると挑戦者決定戦のあと1勝が最高位に直結することになり期待に胸が膨らむ。