ノストラダムスの大予言、版本考2009/04/30 20:55

ノストラダムスの大予言初巻
http://www.s-book.net/plsql/slib_search?sha=6&pat=b2&text=%83m%83X%83g%83%89%83_%83%80%83X
昨日からゴールデンウィークに入り大型連休に突入した。久しぶりにまとまった時間が取れたので、今更だが五島勉氏の『ノストラダムスの大予言―迫りくる1999年7の月、人類滅亡の日』を引っ張り出してみた。この本が改訂されているのは、志水氏の『大予言の嘘』136頁以下で指摘されているし、ノストラダムスの大事典の「ノストラダムスの大予言」の項でも改訂版の存在について言及がある。上のサイトは祥伝社の検索結果だが細かい書誌情報はない。わずかに出版日が1973/12/14、価格が\870とあるのみ。今回は手許の本から版本について考えてみたい。まず上記の出版日は誤りで、どの版でも初版発行は1973/11/25とある。初版の「まえがき」1973年晩秋が、「重版のためのまえがき」1973年初冬に変わったことからも明らかだ。

いま参照できる版本は以下のものである。
1) 昭和48年11月25日初版発行 \430 赤背版
2) 昭和48年12月25日34版発行 \430 赤背版
3) 昭和49年 7月1日272版発行  \530 青背版
4) 平成 3年 3月10日445版発行 \750 青背版
現行版が\870で、平成に入ってからも版を重ね、最終的は450版を超えているらしい。これ程版を重ねた本というのはちょっと思い当たらない。当時はそれだけ売れるブランドだったのだろう。各版の間にも少しずつ改訂箇所がある。1)→2) では前述のまえがきの差し替え、さらに印刷所が萩原から共信社と異なっている。ノストラダムス雑記帳のブログによれば、8版12月13日発行と14版12月20日発行は初版と内容的に差がない。12/14の切り分けであと考えられるのは印刷所の違い位か。2)→3)では、カバーの著者紹介の変更、『コイン利殖入門』のカット。18頁の批判に対する文章の追加、74頁の辞典の発行を16世紀から17世紀に改訂、80頁のゲーテとパスツールの年齢についての追記、111頁ソレント・グリーンの想定を1980年半ばから2022年半ばに修正。139頁の人魚の指し絵の入れ替え、232頁の解説ミスに関する追記、原文の付記に伴い目次の「未来は定められていても・・・」のオミットなど。

3)→4)は17年も経ているので結構改訂箇所が見られる。目立つのはカバーの色が濃い青から水色に、裏表紙の書評を内カバーに、五島氏の顔写真の縮小などレイアウトの大幅な変更。理由は不明だが一部スチール写真の差し替え、140頁の解釈の検証の追記が挙げられる。何度も版を重ねた本というのは当然誤植の類は修正しているものだが、内容の追記については著者自身の申し出によるのか、あるいは編集部の方針か。そういえば発行人が黒崎勇氏から編集長だった伊賀弘三良氏に変更されているのもわからない。一応4冊を比較してみたが、これ以外にも改訂のバージョンがあるかもしれない。どなたかご教授いただければ幸いである。

コメント

_ 研究者 ― 2009/05/01 18:51

こんにちは,新戦法さん。

>平成に入ってからも版を重ね、最終的は450版を超えているらしい。これ程版を重ねた本というのはちょっと思い当たらない。当時はそれだけ売れるブランドだったのだろう。

改めて驚きです。こんなに売れていたなんて。第一次ブームを知らない私の世代でも「ノストラダムスの大予言」の名を知らない人はいないと思います。

新戦法さんは日本でのノストラダムス現象の根源を再考しているのですね。(^^;

ところで、以前紹介をしてもらったマジョリ・リーヴスとジョルジュ・ミノワの本は本当に予言そのものに対していろいろ考えさせられて、重ね重ね本当にありがとうございました。(^^;

またいろいろなテーマを提供してください。よろしくお願いします。

_ 新戦法 ― 2009/05/02 01:18

研究者さん、毎度です。

> 新戦法さんは日本でのノストラダムス現象の根源を再考しているのですね。(^^;

そんなに立派なものではないのですが。(^^;
日本におけるノストラダムスの受容という観点を逆の視点から、本の改訂という足跡を追うことで著者なり編集者の発信側はどういったものだったか考えてみたかったのです。一連の流れを見ると、常に世間の批判を睨みながら都合の悪い部分をハリボテのように覆ってきたような感じを受けます。

> またいろいろなテーマを提供してください。よろしくお願いします。

ネタは尽きることはないはずですが、できるだけ面白いテーマを探してみようと思います。ノストラダムスと聖書の預言についてもいつかは取り上げたいと考えています。

_ 割也 ― 2013/01/17 14:34

>最終的は450版を超えているらしい。これ程版を重ねた本というのはちょっと思い当たらない。

上には上があるようで、1925年初版の築田多吉著『家庭に於ける實際的看護の秘訣』は2000年10月刊行本で1617版を重ねているそうです。
http://www.ne.jp/asahi/matsukinpapa/ucd/tukudaT1.html

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