最近読んだ新書二冊2009/04/12 23:29

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4480687785.html
齋藤孝 読み上手 書き上手 筑摩書房 2008年 を読んだ。早いもので本ブログを始めてから2年と4ヵ月過ぎている。その間にいろいろな本を読み、拙い文章で記事を書いてきた。「読み」と「書き」が表裏一体というのはわかってきたが、自己流ではこれ以上レベルアップするのも難しい。そこで初心に返って読み書きについて考えてみようと本書を手に取った。著者は教育学やコミュニケーション技法の専門家で、本も読みやすいように文中にルビを振り、行間もゆったりサイズ、3日でわかるコツの伝授と、ところどころ工夫が凝らされている。

その内容は高校生が受験で課せられる小論文の書き方や大学生が面接試験のときに準備するエントリーシートなど実用的な例題が数多くちりばめられたもの。若年層の視点で漫画などのノベライゼーション化で書くことを推奨するなどアイデアも豊富だ。書く上で大切なのは、他の本でもよく言われるのがメモを取ること。以前はテキストに思いついたアイデアをメモしたこともあったが、今は活用できているとはいえない。頭のなかに残っていればいつかまた思い出すだろうとのんびり構えている。それも書くことが上達しない一因なのかもしれない。

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4121502086.html
長山靖生 「日本の私」をやり直す 中公新書ラクレ 2006年 を読んだ。「日本の私」というキャッチフレーズの斬新さにつられて手に取った本である。日本という国に住んで自分の居場所がどこにあるのか。それは今という時代に始まった問いかけではない。平安時代から今日にかけてずっと個々人に内在している普遍的なテーマのようである。本書は様々な時事ネタを扱っているが年金未払い問題など当時のトピックスはすでに遠い過去に追いやられてしまった感じがする。冷静に見るとまだ3年しか経っていないが、日本ではマスメディアが取り上げないと、何かうやむやになってしまう印象を受ける。

著者自身も自らを振り返って書いているように、自分も好きなことを読んで書いているオタクの部類に入るのだろう。それが「本当の私」であるのか、「日本の私」はどこに進んでいこうとしているのか。いろいろと示唆に富んだ本である。ふと、長山氏が1999年に雑誌で発表したノストラダムスに関する評論を思い出した。『諸君!』では「"ノストラダムス教"信者よ、さぁ、七の月がやってきたゼ」でノストラダムスの予言を信じる心理について論じている。『ユリイカ』の特集終末論では「20世紀の終わり方」という評論で、世界の滅亡といったテーマを、江戸、明治、大正時代の文献を引き合いに出しながら興味深い考察を行っている。先の論旨の展開とも共通するところが多く、著者の主張の一貫性を感じる。

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