創造力をみがくヒント2009/04/01 23:19

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4061494082.html
伊藤進 創造力をみがくヒント 講談社現代新書 1998年 を読んだ。この本の著者を見ると、岩波の『ノストラダムス 予言集』の編訳者と同じ名前であるがすぐに別人とわかった。試しにウィキペディアで調べてみると曖昧回避のページに著名人が5名も載っている。もちろん本書の著者もエントリーされているが記事は未完成のようだ。本書は出版されてからすでに10年以上も経っており、紀伊国屋のウェブによるとすでに入手不可とある。教育心理学を専攻しているだけあって内容もシンプルでわかりやすいし、タイトルのテーマ自体、誰にでも応用がきくので創造力を磨くための入門書、ジャンルとしてはハウツーものといえる。

一見抽象的ともいえる、創造性とは何であろうか。自分のイメージだと、何か新しい分野を切り開いて画期的なものを生み出す能力といった感じか。すなわち、ある種の才能を持った人間でないと持ち合わせないものとなる。しかし本書でのおすすめの定義は少し異なる。創造性=「新たな問題にぶつかったときに、自分なりに対処する力」という。これだけじゃわからないというので、創造性が当てはまらない事例と当てはまる事例を挙げて噛み砕いて解説してくれる。その結論を、従来の結果主義と行動主義の違いに帰着している。行動主義ならば一般の人でも個人的創造性があてはまる。その原動力をM(モチベーション)R(リソース)S(スキル)に置いている。

これをさらにユニークな譬え話で展開しているが、そこになんと羽生の名前が出てくる。この著者はあまり将棋のことはご存じでないという。そうした場合、無理に自分の理論に充て込もうとすると話がトンチンカンになる恐れもある。この本も論の展開から、かなり断定的に羽生と他の将棋プロとの違いを論じている。お得意のメモでひらめいたストーリを文章に仕立てたのだろうが、わかりやすさを優先するあまり少し乱暴な論調になっている感じがするのは否めない。リソースとしての知識を蓄積することで思った以上に力を生み出す、創造性の源となるというのは将棋とのアナロジーで見ても賛同できる。

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