アンリ二世への書簡と消える太陽2008/06/08 23:58

ノストラダムスの残した予言文書には太陽の異常な状態を予兆と見なしているものがある。先ごろ発表されたアンリ二世への書簡の一節にこうある。「それに先んじて、天地創造からイエス・キリストの死と受難の時までに起こった中で最も暗く(le plus obscur)最も陰鬱な(le plus tenebreux)太陽の蝕(日食)が起こるでありましょう。」もちろん今日では科学により日食の謎めいた迷信は排除されている。しかしながらその昔は、めったに見られない自然現象が不可解な物事が起こる徴として受け取られていた。神の怒りと見なし世の終わりが到来したのだと考えて、飢饉や疫病、戦争のような不幸を予想した。

ノストラダムスの「消えゆく太陽」に対するイメージもこれと重なるところが多い。上の表現にある「最も暗い」は皆既日食を謂い、「最も陰鬱な」はおそらく日食の持続時間の長さを表現している。この日食の時期については諸説あるが、書簡のなかで1606年の星位について触れている節があるので、それに先駆けてとなると1605年10月2日が有力である。ブランダムールによると『1559年9月16日に生じる日食の意味』という著書でノストラダムス自身1559年の日食と1605年の日食の比較を行っている。この知識のソースとされるレオヴィッツのl'Ephemeridum nouumにもラテン語で日食の持続時間に関する記述がみられる。

1999年8月11日にヨーロッパ諸国で見られた皆既日食は20世紀最後の天文ショーとして話題になった。消えゆく太陽が最後の光を地球に投げ、突然夜が到来し、空には星が現れる。暗い空には太陽に変わり銀‐真珠色の光芒に囲まれた黒い球面がかかっている。予報された現象であれ、神秘的なものであることは間違いない。

コメント

_ MBI25 ― 2008/06/09 15:08

初めてコメントさせていただきます。MBI25です。6月8日にノストラダムスサロン掲示板に投稿させていただいた者です。宜しくお願いします。
 ここ2ヶ月ほど新戦法氏のブログを読ませていただき、勉強させて頂いています。 
 20世紀末にノストラダムスに騙されたと思い、 買いそろえていました予言解説書のほとんどを棄ててしまいました。 まさかこんな時があるとは知りませんでしたので。 しかし新戦法氏のブログやノストラダムスサロンを徘徊させてもらい良い資料を収集することができました。感謝しています。 これからも良いブログを続けてください。 宜しくお願いします。

_ 新戦法 ― 2008/06/09 23:02

MBI25さん

コメントありがとうございます。掲示板のほうは別にレスします。

> 20世紀末にノストラダムスに騙されたと思い

ということは・・・ビリーバーたちの夢想を信じていたということですか。(^^;

> まさかこんな時があるとは知りませんでしたので

こんな時というのはどういう意味でしょう?日本ではノストラダムスブームはとうに過ぎてしまったわけですが。他の予言とのリンクをお考えですか。

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