名人戦第五局は森内名人の快勝、カド番をしのぐ2008/06/06 23:58

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ようやく出張から帰宅した。昨日より名人戦第五局が指され、既報の通り森内が先手番をブレイクして2勝目を挙げカド番をしのいだ。第三局の先手番を劇的な逆転負けで落とし、第四局も自ら動いて自滅した感が強く、ここまで非常に流れが悪かったが本局は森内らしい指し回しで羽生を圧倒した。森内の作戦はまたしても▲2六歩からの相掛かり指向、これに羽生も応じて第三局と同じ先手引き飛車棒銀となった。先手が33手目▲6六歩と持久戦模様を目指したのでゆっくりした展開になるかと思われたが森内の指し手はより良さを求める意欲的な41手目▲6五歩、さらにこれまで終盤時間の無くなって勝ち切れなかったのを反省してか、初日は持ち時間を温存すべく飛ばしてきた。

これまでの対局は随分とスローペースだったが、本局は封じ手の時点で50手も進んだ。羽生が封じ手に要した時間は1時間47分で一番の長考となった。すでに容易ならざる形勢と感じていたからであろう。封じ手は大方の予想手△8四角ではなく△7五同歩。先手の手に乗ってチャンスを覗っていこうとの強い意志が感じられる。その後1筋を攻めた先手に対して後手も攻めに転じるが、87手目▲4一角と両取りが決まり先手の技が決まった。とはいえ優勢になってから勝ち切るまでの道のりが遠いのは森内自身が一番感じている。第三局の轍を踏まないように慎重に後手玉を寄せて受けなしに追い込んだ。投了図を見ると先手の3六の銀と2二の銀が見合になっているのが印象的だ。森内の狙いの作戦が奏功した一局といえるだろう。

森内は先手番をキープしてなんとか土俵際で耐えたが、防衛に向けてまだまだ苦しいことには変わりない。次の後手番をいかにしてブレイクするか。大げさにいえば森内の今後の棋士人生のかかった大一番となる。本局を見ても森内の作戦巧者ぶりは健在である。どのような作戦を立てて臨むか大いに注目される。