A.ドマール・ラトゥールのノストラダムス本 ― 2009/11/06 23:57
第一次世界大戦という世界を巻き込んだ大戦争は同時代のノストラダムス解釈者たちに大きなインスピレーションを与えた。それまでは戦争なり革命というのは局所なものでしかなかったが、戦争のグローバル化によって予言解釈の対象とするスコープも徐々に拡大していくことになる。第一次大戦時にノストラダムスの予言を解釈した研究家にA.ドマール・ラトゥールがいる。1915年にパリで"Nostradamus et les Evenements de 1914-1916"(ノストラダムスと1914-1916年の事件)という64頁の小冊子を刊行している。もちろん第一次世界大戦の成り行きを主題としているが、解釈本らしく導入部分は極めてオーソドックスである。目次を拾ってみよう。1.ノストラダムスの伝記 2.ノストラダムスの作品 3.ノストラダムスの奇妙な細部 4.ノストラダムス予言 16-17世紀編 5.ノストラダムス予言 18-19世紀編 6.ノストラダムスと未来 7.ノストラダムスと1914-1916年の戦争―
本書の表紙には7章の細かい見出しを載せている。(写真参照)ノストラダムスは果たして四世紀先の(ラトゥールからみて)現在の戦争を予言したのだろうか。その疑問に答えるべく国立図書館で見つけた1568年版予言集の標本(Ye7352)を利用したとある。そして野心的に第一次世界大戦に関する予言詩を、3-24、2-34を手始めに次々と引用していく。ここで提示された解釈がどこまで後世の研究家に受け継がれたか、自分ではまだ細かく整理していない。ラトゥールは前人未到の解釈の適正さを読者の判断に委ねているが、そもそも戦争は1918年の休戦まで4年間激戦が続いたのであり、戦争の終結1-100を1916年と見たのは予想外だったであろう。ところで6章の遠未来の部分で百詩篇10-72が言及されている。この章では未来を推測する要素として、ローマ、大首長、大教皇、アンテクリストを引き合いに出している。
ラトゥールが示した10-72のテクストは面白い。恐怖の大王の原句がun Roi de frayeurとなっており、独自の校訂の跡が見て取れる。「20世紀の終わり頃、天はフランスに至高の君主を遣わす。それは己の敵に対して恐怖となり得る人物である。大王たちの模範となるべく統治を行い、彼の登場する前後フランス軍の繁栄が止まることはない。」特段注釈はないがアンゴルモアの大王をフランス軍に見立てているのだろうか?
本書の表紙には7章の細かい見出しを載せている。(写真参照)ノストラダムスは果たして四世紀先の(ラトゥールからみて)現在の戦争を予言したのだろうか。その疑問に答えるべく国立図書館で見つけた1568年版予言集の標本(Ye7352)を利用したとある。そして野心的に第一次世界大戦に関する予言詩を、3-24、2-34を手始めに次々と引用していく。ここで提示された解釈がどこまで後世の研究家に受け継がれたか、自分ではまだ細かく整理していない。ラトゥールは前人未到の解釈の適正さを読者の判断に委ねているが、そもそも戦争は1918年の休戦まで4年間激戦が続いたのであり、戦争の終結1-100を1916年と見たのは予想外だったであろう。ところで6章の遠未来の部分で百詩篇10-72が言及されている。この章では未来を推測する要素として、ローマ、大首長、大教皇、アンテクリストを引き合いに出している。
ラトゥールが示した10-72のテクストは面白い。恐怖の大王の原句がun Roi de frayeurとなっており、独自の校訂の跡が見て取れる。「20世紀の終わり頃、天はフランスに至高の君主を遣わす。それは己の敵に対して恐怖となり得る人物である。大王たちの模範となるべく統治を行い、彼の登場する前後フランス軍の繁栄が止まることはない。」特段注釈はないがアンゴルモアの大王をフランス軍に見立てているのだろうか?
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