ノストラダムス予言詩の抽象イメージ化2009/08/25 23:55

ノストラダムス予言詩を単に注釈するだけではなく、そのイメージを幾つかイラストとして挿入している解説書が手元に2冊ある。いずれもA Peter Paula Press Bookから出版されたもので、本の装丁も似通っているし姉妹編といった趣である。姉のほうは1972年の"Nostradamus His Prophecies for the future"(ノストラダムス、未来への予言)で編集Frank J. MacHovec、装飾Jeff Hillとある。イラストには特に四行詩の章番号は添えられていないが、大体見開きの頁のどれかの予言詩に対応しているのが直感的にわかる。このイラストは赤と灰色の二色刷りで予言のテーマを絞り込んで抽象イメージ化を行っている。全部で8枚のイラストが載っている。

一方の妹のほうは1983年に出版された"Nostradamus The future foretold"(ノストラダムス、予言された未来)で編集・翻訳Dan Hofstadter、イラストPaula Goodmanとある。こちらのほうはイラストも赤、青、黒の三色刷りで四行詩の番号が添えてある。百詩篇7-25、1-86、4-31、4-55、5-7、6-72、8-23、10-89の8枚のイラストである。両者に共通しているのはノストラダムス予言詩集といった体裁で、編者の独断と偏見(?)で英訳された予言詩が選択されている。飛び番号もあるが一応もとの百詩篇の章番号の順番を踏襲している。そしてそれぞれの四行詩にごく短い注釈が添えられてる。もちろん編者が違うので選んだ四行詩は必ずしも一致していない。編纂の仕方の違いであるが、後者のものは何故か積極的に補遺篇も取り込んでいる。

日本で一番有名な1999年の詩(百詩篇10-72)は、前者ではセレクトされているが、後者では甚だ冷淡に扱われている。これら二つの詩集形式のノストラダムス予言を見ると、細かい字義などに細かく触れることをせずに、純粋に叙事詩として楽しむのも有りかなと思えてくる。