第22期竜王戦は深浦が挑決三番勝負に進出2009/08/10 23:05

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本日の竜王戦の決勝トーナメントはタイトルホルダー同士の好カード、深浦王位-久保棋王戦が行われた。結果は深浦が挑戦者決定戦三番勝負に駒を進めた。森内との対戦成績は6-8と少し分が悪いが、今の立場はタイトルホルダーと無冠の九段、自信を持って臨めるはずだ。深浦は渡辺に相当相性がいいので挑戦者になれば最高位への夢が大きく膨らむ。上のサイトで棋譜を並べてみると戦型は予想された久保のゴキゲン中飛車、これに対して深浦は二枚の銀を繰り出す作戦を採る。当然この一戦に備えて十二分に研究してきたことだろう。そういえば今月号の将棋世界で三浦八段の定跡講座に▲4七銀型と▲3七銀型の準急戦が紹介されている。プロの間でも有力視されている作戦なのだ。

深浦は後者の▲3七銀型を選んだが、基本図と実戦を比べてみると後手が△4二銀ではなく△3二銀としているのが違う。この辺りが後手の工夫なのだろうか。講座にあるように▲3七銀と上がった手に5筋から銀を繰り出すという展開にはならない。先手が20手目▲7七銀と5筋の位を狙った瞬間にあっさりと位を放棄して5筋の歩を交換、飛車を捌くのがこの戦法の骨子である。25手目の▲3五歩が深浦の研究手か、前例のない展開となり、ここからはお互いに読み比べとなる。30手目の△5七飛成が久保らしいド派手な一手。▲同銀と取れば王手飛車がかかり後手が優勢となる。先手は玉形が薄いので食い付かれる展開は避けなければならない。後手はうまく竜を活用できればわかりやすい。

局後の感想によると、38手目△2四同歩と取ったのがほとんど敗着であるという。素人目にも△3五竜と銀を取りたい。歩が成ってこれば飛先を連打して凌ぐことができる。先手の55手目▲6四桂が読み切りの手で65手目▲4七金がカッコイイ決め手となり幾ばくもなく後手投了。縁台将棋のオジサンが指すような不十分な陣形からの急戦だが改めて有力な戦法であると感じた。三浦八段の講座では中飛車の△3二銀型には有力な仕掛けがなく居飛車側に新たな研究の必要性を唱えている。この一局はそのひとつの解答となる可能性が高いが、アマの場合先手を持って指しこなすのは難しそうである。