カルロ・パトリアンのノストラダムス研究書2009/01/25 22:13

http://books.google.co.jp/books?id=ZZmcFqyCS38C
グーグルブック検索で調べ物をしていた時、偶然イタリアのカルロ・パトリアン(Carlo Patrian)のノストラダムス研究書を見つけた。タイトルは「ノストラダムス、予言集」(Nostradamus: le profezie)で初版は1978年に出版された。ノストラダムス予言集のフランス語原文とイタリア語の対訳が載っている365頁の大著である。手元にある1991年発行の本を見ると、毎年のように版を重ねていったのがわかる。この本を研究書と呼ぶのはフランス語、英語、ドイツ語のノストラダムス文献が十分消化されているからだ。イタリアでは定番のノストラダムス本となっていったのだろう。「書籍のプレビュー」を見ると、著作権により部分的に隠されたページがいくつかあるが、それでも本の概略を掴むことができる。

第一部はノストラダムスの伝記、その周辺事項、著名な注釈書について幅広く取り上げている。ノストラダムスに関するテーマには興味深いものも含まれている。また所々に予言集の古版本や手稿などのコピーが見れるのも有難い。第二部ではセザールへの序文、アンリ二世への書簡、百詩篇1-10巻(7巻は44番まで、補遺は含まない)の予言集の対訳、各巻の終わりには的中したとされる四行詩の解釈は78篇に達している。最初のこの本を読んだときパトリアンの注釈は客観的と思えたので、注釈された予言詩は一応的中したと見なして、そこから予言の的中率を算出したこともあった。パトリアンは自分で独創的な解釈をするわけではなく、従来の注釈から良質なものをピックアップしたに過ぎない。

付録では1980年代に関するトピックスを簡潔にまとめている。あと文献書誌がくる。日本ではあまりなじみの無いイタリア人の研究家は、わずかに関連書で言及されている。オーヴァソンの『ノストラダムス大全』337頁、2-24の四行詩について「イタリア人研究家カルロ・パトリアンは、ヒトラーやムッソリーニに結びつける誘惑には耐えている」。ここからは安易な解釈には与しないという姿勢が見て取れるが、1995年に出版された「ノストラダムス、2000年に対する予言」では近未来の第三次世界大戦について解釈している。