フランス史10講2008/06/03 23:32

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4004310164.html
柴田三千雄 フランス史10講 岩波新書 2006年 を読んだ。フランス史と一言でいうも、日本のような島国と異なりヨーロッパの周辺地域との関わりが複雑に交差している。それを一応通史として新書にまとめ上げているのはありがたい。題名に10講とあるように、フランス史を10回に分けた大学の講義ノートのような形をとっている。内容はフランスの起源を古代ローマに遡り、現代に至るまで、史実を幹に置きつつ主に社会政治史をテーマとした著者の見方・捉え方を中心に置いている。記述の内容は正直いって素人にはなかなか難しいが、各章の冒頭に簡潔な年表を掲げているおかげでおおよその流れをつかむことができる。

フランスがどういった過程を経て現在の政治システムに辿り着いたか、それには長い長い歴史上の道のりがある。歴史の教科書で断片的に得られた知識が本書ではジグソー・パズルをあてはめるがごとく、時代の変革の流れにピースを埋めていく。特にフランス革命以降の国家構造の目まぐるしい転換はそれぞれに意味を持たせている。こんな短期間のうちに世界を揺るがす変革がドラマティックに起きたわけだが、それぞれに意味があって後出しの理屈だけれどクーデターやら革命の必然性を解き明かす。実際に85年間で11もの政体が生まれては消えていったのだから驚く。

こうした激動の時代は日本でいえば明治維新と比較されるらしい。その時々の人々がいかに既成の価値観を打ち破って変革の志を持って行動していったか偲ばれる。こうして見ると、現代の日本はあたりまえのように平和と安定を享受していることに気づいていないと再認識させられる。

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