六行詩関連の記事について2017/05/01 23:32

早いもので新しい年度が始まったと思ったらもう5月である。世間はゴールデンウィークの空気感が漂っている。そんななかノストラダムスの大事典で六行詩関連の記事が続けて発表されている。その精力的な活動には本当に敬意を表したい。ノストラダムスの六行詩関連の情報は一般の読者にとって取り立てて関心のあるテーマとはいえないだろう。海外の研究者でも突っ込んだ研究を発表したのはブナズラ、アルブロン、ギナールなどごく一部に過ぎない。本ブログでも六行詩について簡単な紹介を行ってきたが、大事典の記事ではそれを詳細に整理したうえで分析を行っている。

こちらの提示した仮説についてこれほど綿密に検証を行っていただいたのは本当に感謝を申し上げたい。ヴァンサン・セーヴと六行詩集で展開した dans le dernier siecle の解釈についてノストラダムスの大事典編集雑記のなかでフランス語の読み方における問題点のご指摘を受けた。様々な辞書の記述を引用しながらどう読むべきかを教示いただいた。それらの検証の結論としてリオンで出版されたのがランドリオ版予言集の可能性が高いというのは賛同せざるを得ない。sumaruさんと違ってノストラダムス文献を読む際に手元に専門的なフランス語の辞書を置いているわけではない。

遥か遠い学生時代に使っていた『クラウン仏和辞典』1981年第21刷と白水社の『仏和大辞典』1982年第3刷、あとはハンディタイプのポケット辞書しか持っていない。最近ではインターネット上で公開されているフランス語の辞書も利用している。そんなお寒い事情なので細かいフランス語の語義の話になるとまったく手も足も出ない。とはいえ細かい字句に捉われない大局的な見方というのも重要と思っている。そもそも今回六行詩の来歴を探ろうとしたのはノストラダムスの大事典の記事のなかで1605年版ノストラダムス予言集の位置づけに異議を申し上げたことがスタートである。

もともとピエール・シュヴィヨ版と1605年版のどちらが先に出版された版本かというのはsumaruさんとの間で長きにわたり見解の違いが存在していた。私としては真実がどこにあるかを知りたいだけで結果的にどちらが先でもそれはそれで構わない。ただ自分で分析したデータに基づいて主張しているだけだ。最近ではsumaruさんが六行詩の分析を進めていくなかで1605年版予言集が偽年代版である可能性も考慮して論じていることで一定の客観性が保たれている。それで十分である。これからもいい情報交換ができてノストラダムスの大事典がさらに充実されることを願ってやまない。

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