NHK幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー2014/06/14 00:23

ノストラダムスの大事典NHK幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリーという記事が立てられている。NHKのBSプレミアムで放映された番組を書籍化したものという。残念ながら家のテレビはBSが見られないためノストラダムスに関わる番組自体見ていない。大事典に紹介されているが、どんな内容だろうと職場近くの本屋にぶらりと入って探してみるとムックのコーナーに置いてあった。手に取って頁をペラペラめくってみる。有名な超常現象ネタの真相を検証するといった類のもので、その切り口はいかにもNHKといった感じで事なかれ主義、当たり障りのないものである。

ノストラダムスに関する部分は「ノストラダムスがうつし出す心の闇」で取り上げられているが、これがあまりにも平凡すぎて面白みに欠ける。図解を入れたり画像に吹き出しをいれたりと、素人にもわかりやすく読ませる工夫がなされているが何かピントがずれている。本文中にもわかりやすさを心がけようとして却ってわかりずらい部分が散見される。83頁には「短い詩を約1000編・・・」とか「4行程度の予言100編を・・・」とあるが、なぜ素直に四行詩としないのだろうか、ちょっと理解できない。また84頁の予言集の解説では「『ミシェル・ノストラダムス師の予言集』は半生世紀で36版に達した」とある。

本文に「半世紀で36版・・・」とあるので単純な誤植であろう。お粗末な校正で本当にプロが作った本なのかと勘繰ってしまう。86頁には「特に解釈本が数多く出版されたときには、フランスの歴史上、重大な出来事が起きている。」なんてもっともらしく書いているが、これはまったく逆である。重大な出来事が起きると後知恵で予言が当たったとする解釈本が登場するのである。さらには88頁の章見出し「1973年大予言日本上陸」というのもセンスがないというか、意味不明である。ノストラダムスは1973年以前にも日本で紹介されているし、上陸したなんていう事実もない。ブームになっただけである。

大事典によると、放送時にはジャクリーヌ・アルマンやオリヴィエ・ミレへのインタビューがあったらしいがカットされている。上の一例に示したような何かしら違和感のある文章を載せるよりもよっぽど価値があると思うのだが、大衆迎合向けに書き直すのがNHKクオリティなのだろう。ノストラダムスの大事典 編集雑記で訳文をパクられたとネット上で書かれれば、世間体を気にしてその部分をカットしたり、放映時には挙げなかったサイトのアドレスを参考文献に載せたりと、実にNHKらしい。ほかのテーマにしても「~らしい」とかのオンパレード、雑誌「ムー」のようなハッタリ的な表現は皆無である。

ところで「江戸時代に現れた謎の円盤と美女」を読んで最後に「しかし、当時の人々は、一体どこから、このような奇抜な形の乗り物を発想したのだろうか」とある。確かこれはすでに解決済みだったのでは。最近読んだ『あなたの知らない都市伝説の真実』の「検証「うつろ舟」のミステリー【その2】」(同署98頁)には豊富な参考文献とともにその正体を推測している。内容的にもコンビニ本に負けている? NHKの本には何かと謎が多い。ノストラダムスに戻って、タイトルの横にある内容要約の最後に「恐怖はまだ終わっていなかった。」。今更煽ってどうしょうというのだろう、NHKさん。

コメント

_ sumaru ― 2014/06/14 09:07

 本当の意味での一般向けだと、あのぐらいでも十分に頑張っている方じゃないかなあという気はします。
 一昨年、共著を書いた際に皆神さんから言われたのは、「とにかく一般の人はノストラダムスについて知らない」ということでした。と学会のイベント参加者(当然オカルト方面の予備知識は一般人よりある)に挙手してもらったりしても、ノストラダムスについてはごく初歩的なことも知らない人が多い、だから本を書くときはものすごく基本的なところから説き起こした方がいい、と言われました。

>ノストラダムスの大事典 編集雑記で訳文をパクられたとネット上で書かれれば、

 たぶん私のブログは見ていないと思います。ブログで指摘してあった「天で火で」という意味不明の誤訳はそのまま残してありましたから(笑)。
 うろおぼえですが、番組では参考文献の類がひとつも出てこなかった気がしますし、挙げるか挙げないかはテレビと書籍という媒体の違いなのかもしれません。

 私の場合、ブログに書いていたように、訳文をパクられても大して腹が立たない程度には、あの番組に好印象を持ったので、書籍版にも点が甘くなっている部分があるのかもしれません。

 いずれNHK総合で再編集版が放送される機会があるでしょうから、そのときにどんな訂正が施されるか、個人的には楽しみにしています。

_ 新戦法 ― 2014/06/14 22:55

sumaruさん、

> ノストラダムスについてはごく初歩的なことも知らない人が多い

それは十分理解しているつもりです。今では関連書も途絶えてノストラダムスという名じたい耳にすることもないですから。それを割り引いても・・・という感じです。少々厳しすぎたかもしれませんが。

> ブログで指摘してあった「天で火で」という意味不明の誤訳はそのまま残してありましたから(笑)。

普通の見方はそうでしょうが、それを見落としてしまうのがNHKかと。(^^;

> 書籍版にも点が甘くなっている部分があるのかもしれません。

sumaruさんの書評が甘いと批判しているわけではありません。ノストラダムスの予言詩同様に人それぞれ受け取り方が違うこともあるということでしょう。

> そのときにどんな訂正が施されるか、個人的には楽しみにしています。

番組自体見ていないので再放送を見る機会があればまた見方も変わるかもしれません。(^^;

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