マリオのノストラダムス・サイトがリニューアルされた ― 2009/02/22 16:42
http://www.propheties.it/
グレゴリオ・マリオのウェブサイトが全面的にリニューアルされている。膨大な情報量を誇るウェブサイトのレイアウト変更が、いったいどれほどの仕事量になるのか、とても想像がつかない。コンテンツの容量は8ギガバイト、ページ数にして140000という途方もないデータベースを構築している。その中の目玉といえば、やはり「デジタル・ライブラリ」である。ライブラリの画像枚数も50000と桁外れのボリュームになる。以前は画像上にマリオのコピーライトが入っていたが、今回はそれがすべて取り去られている。無料で公開されているノストラダムスの最大のライブラリは、ノストラダムスに関心を持つ人たちにとって貴重な財産なのである。内容は不明だが、アルブロンのライブラリの第三弾も準備されているようで楽しみだ。
一昔前を思うと、インターネットからこれほど大量の情報を得られる時代がくるとはまさに夢のようである。ノストラダムスを真剣に研究しようとするならば、アカデミックのなかで閉鎖的なネットワークを通じて資料を入手するか、あるいは個人で欧米の図書館に直接問い合わせをして自費を投じてコピーを依頼するしかなかった。それ以外では海外の研究書を参照するしかないが、それも絶版になってしまうと、なかなか入手するのが困難だった。海外の古書のデータベースもなく、個別の書店への問合せ、支払と一般の人ではそれだけでエネルギーを消耗してしまう。現在はインターネットで簡単に注文できるし、世界中の図書館のウェブサイトでは蔵書のデータベースを構築しているので非常に便利になった。
自分自身もこうした情報の渦の中でただただ目を見張るばかりである。ノストラダムスのマテリアルの公開はほぼ飽和状態に近づいたと見てもいいだろう。後はこれをいかに取捨選択していくか、研究レベルの向上が求められる。ノストラダムスに関する良質な論文も専門のウェブ上で公開されており、ノストラダムスの学術的な研究の土台は整った。日本でも書籍という形でこうした新たな知見が紹介されることを期待したい。
グレゴリオ・マリオのウェブサイトが全面的にリニューアルされている。膨大な情報量を誇るウェブサイトのレイアウト変更が、いったいどれほどの仕事量になるのか、とても想像がつかない。コンテンツの容量は8ギガバイト、ページ数にして140000という途方もないデータベースを構築している。その中の目玉といえば、やはり「デジタル・ライブラリ」である。ライブラリの画像枚数も50000と桁外れのボリュームになる。以前は画像上にマリオのコピーライトが入っていたが、今回はそれがすべて取り去られている。無料で公開されているノストラダムスの最大のライブラリは、ノストラダムスに関心を持つ人たちにとって貴重な財産なのである。内容は不明だが、アルブロンのライブラリの第三弾も準備されているようで楽しみだ。
一昔前を思うと、インターネットからこれほど大量の情報を得られる時代がくるとはまさに夢のようである。ノストラダムスを真剣に研究しようとするならば、アカデミックのなかで閉鎖的なネットワークを通じて資料を入手するか、あるいは個人で欧米の図書館に直接問い合わせをして自費を投じてコピーを依頼するしかなかった。それ以外では海外の研究書を参照するしかないが、それも絶版になってしまうと、なかなか入手するのが困難だった。海外の古書のデータベースもなく、個別の書店への問合せ、支払と一般の人ではそれだけでエネルギーを消耗してしまう。現在はインターネットで簡単に注文できるし、世界中の図書館のウェブサイトでは蔵書のデータベースを構築しているので非常に便利になった。
自分自身もこうした情報の渦の中でただただ目を見張るばかりである。ノストラダムスのマテリアルの公開はほぼ飽和状態に近づいたと見てもいいだろう。後はこれをいかに取捨選択していくか、研究レベルの向上が求められる。ノストラダムスに関する良質な論文も専門のウェブ上で公開されており、ノストラダムスの学術的な研究の土台は整った。日本でも書籍という形でこうした新たな知見が紹介されることを期待したい。
外から見た日本のノストラダムス現象を考える ― 2009/02/22 23:30
コメント欄で話題になった、海外から日本のノストラダムス現象はどのように見られているかというテーマを考えてみたい。手元に裏付けとなる資料も乏しいので多少独善的になるかもしれないがご容赦いただきたい。結論をいうと、日本ではニューエイジ思想にまみれた歪んだノストラダムス像が蔓延しており、それがオウム真理教の教祖が首謀した犯罪史上まれに見る凶悪な地下鉄サリン事件に水面下で結びついた、ということになろうか。"Nostradamus L'eternal retour"(ノストラダムス、永遠回帰)89頁では、「日本でのノストラダムス・ブームがまたまったく異質の出来事につながった」とし、麻原がノストラダムス文献学者のミシェル・ショマラのもとを訪れて資料収集していったことに触れている。この顛末について、機関誌「マハーヤーナ」1989年3月号にオウム側からの記事が載っている。
1995年、ショマラのもとに日本の警察からの事情聴取があった。行方の知れないオウム真理教の教祖との関係である。さぞかし驚き、ショックを受けたことだろう。オウムの本にはフォンブリュヌの名前も出ている。フォンブリュヌはオウムと接触することはなかったが、1999年の"Nostradamus de 1999 a l'Age d'or"(ノストラダムス、1999年から黄金時代へ)の188頁のなかで、1980年の自分の著作を見てオウムが自分と接触したいと主張したが断固受け入れを断った。ノストラダムスの名前を出すなんてなんと恥さらしなと憤慨している。海外では、日本においてノストラダムス像が正しく紹介されていないと受け取られただろう。メゾン・ド・ノストラダムスのアルマン館長と話をしたときも、日本のノストラダムス本はひどいものが多いから竹下(節子)の本を読みなさいと繰り返していた。
「インターレリギオ」1997年冬号No.32に載っているロバート・キサラの「ノストラダムスと日本のアポカリプス」では、オウム真理教や幸福の科学などノストラダムスを利用した新興宗教を基軸に日本のノストラダムス現象を手際よくまとめている。その見方はダミアン・トンプソンの"The End of Time"(時の終わり、邦訳『終末思想に夢中な人たち』)も同じである。ハルマゲドンが起きるとき、五島勉が別のものと呼ぶ救世主がアジアから出る。1970年代に訳されたノストラダムスが新世代のグルたちに深い印象を与えた。麻原は、五島勉の解釈を受け入れた桐山の阿含宗に一時期入信していたし、その後川尻氏の著作を読み、手紙を書いたり自分で解釈した。すでにノストラダムスは日本の大衆文化の一部と化していた。そこで信者を獲得するためにノストラダムスの名前を利用したのだ。
彼らにとっては、ノストラダムスが予言した大変動はこの世の終わりではなく、この世に新しい文明が生まれる前兆である。その正当性をノストラダムスの予言詩に求めるために資料を入手しに行ったのだろう。結論は最初から決まっていた。キサラがいうように、宗教的に大きなマーケットを握ろうとして、ノストラダムスの予言がマニュアル化されたというのは不幸としかいいようがない。
1995年、ショマラのもとに日本の警察からの事情聴取があった。行方の知れないオウム真理教の教祖との関係である。さぞかし驚き、ショックを受けたことだろう。オウムの本にはフォンブリュヌの名前も出ている。フォンブリュヌはオウムと接触することはなかったが、1999年の"Nostradamus de 1999 a l'Age d'or"(ノストラダムス、1999年から黄金時代へ)の188頁のなかで、1980年の自分の著作を見てオウムが自分と接触したいと主張したが断固受け入れを断った。ノストラダムスの名前を出すなんてなんと恥さらしなと憤慨している。海外では、日本においてノストラダムス像が正しく紹介されていないと受け取られただろう。メゾン・ド・ノストラダムスのアルマン館長と話をしたときも、日本のノストラダムス本はひどいものが多いから竹下(節子)の本を読みなさいと繰り返していた。
「インターレリギオ」1997年冬号No.32に載っているロバート・キサラの「ノストラダムスと日本のアポカリプス」では、オウム真理教や幸福の科学などノストラダムスを利用した新興宗教を基軸に日本のノストラダムス現象を手際よくまとめている。その見方はダミアン・トンプソンの"The End of Time"(時の終わり、邦訳『終末思想に夢中な人たち』)も同じである。ハルマゲドンが起きるとき、五島勉が別のものと呼ぶ救世主がアジアから出る。1970年代に訳されたノストラダムスが新世代のグルたちに深い印象を与えた。麻原は、五島勉の解釈を受け入れた桐山の阿含宗に一時期入信していたし、その後川尻氏の著作を読み、手紙を書いたり自分で解釈した。すでにノストラダムスは日本の大衆文化の一部と化していた。そこで信者を獲得するためにノストラダムスの名前を利用したのだ。
彼らにとっては、ノストラダムスが予言した大変動はこの世の終わりではなく、この世に新しい文明が生まれる前兆である。その正当性をノストラダムスの予言詩に求めるために資料を入手しに行ったのだろう。結論は最初から決まっていた。キサラがいうように、宗教的に大きなマーケットを握ろうとして、ノストラダムスの予言がマニュアル化されたというのは不幸としかいいようがない。
最近のコメント