日本に導入された予言集テクスト2008/09/21 23:49

http://www.oceanru.com/wiki/Ocean:Nostradamus
上記のウェブにアクセスすると簡単にノストラダムス予言集の様々な版本のテクストやオリジナル画像を閲覧することができる。インターネット上でこうした予言集の整理がなされているのを見るにつけ第一次ブーム時と隔世の感を禁じえない。日本ではすっかりブームも終焉して一部の好事家の関心しかなくなったと思いきや、意外にも一般のブログで毎日のように取り上げられている。これほどまでに根強い人気があったのかと驚くことしきりである。とはいってもその内容の多くは怖いもの見たさのゴシップに近い感想文であって詳細にテクストを検討しているものは極々少数でしかない。ノストラダムスといえば1999年の予言、ほとんどがそこに集中しているのは仕方がないのだろう。

日本で最初に紹介されたテクストは、偽年代1568年版(実際には1649年頃)予言集から1672年ガランシェールから1947年ロバーツを経て、そして五島氏の『大予言』、高木氏の『大予言の秘密』、たま出版の大予言原典へとたどり着いた。1668年パリ版予言集のテクストは1969年のリヒャルト・シコウスキーの復刻版を経てノア氏の『神の計画』に取り込まれた。また1940年シャルル・レノー・プランセの安価なペーパーバックの予言集テクストはセルジュ・ユタンの著書(1973年等)を経て五島氏の『大予言Ⅴ』や川尻氏の『メシアの法』に取り込まれた。1568年ブノワ・リゴー版のテクストはエリカ・チータムを介して二見の『全予言』やそこから転用した池田氏の著作に取り込まれた。

日本で版本の違いを明らかにしたのがラメジャラーの邦訳で、1555年版、1557年海賊版、1568年版のテクストを転載した。1555年版テクストは復刻版を参照する形でオウムや五島氏の本で紹介された。岩波のノストラダムス予言集もこの版に従っている。1557年海賊版(ブダペスト標本)テクストはショマラのファクシミリ本から池田が著書に転載している。これは推測であるが1611年シュヴィヨ版テクストがラモッティに、1630年リュオー版テクストがペニントンの本に利用されている。こうして見ると日本で現れた予言集テクストもバラバラでその体系化も必要かと思う。早い時期に予言集全巻のテクスト批評版が現れてくれればいいのだが。