食い逃げされてもバイトは雇うな―禁じられた数字〈上〉2008/09/11 23:57

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4334034004.html
山田真哉 食い逃げされてもバイトは雇うな―禁じられた数字〈上〉 光文社新書 2007年 を読んだ。なかなかユニークなタイトルである。これだけをゆっくりと読んでみてもおぼろげながら全体の内容が浮かんでくる。要は経営者の立場になって考えると、食い逃げの分とバイト料のトータル金額を比較したとき、どちらがキャッシュが残るかという判断である。そう思って読み進めてみると、まず数字の話が出てくる。なるほどビジネスにおいて会社の決算には多くの数字が出てくる。その数字が意味するところをいかに読み取るか。イントロには数字のルール、1章には数字がうまくなるための技法、2章でビジネスの数字がうまくなる、と数字の扱い方について単純な例に引き合いに出して解き明かす。

そして3章でいよいよ本題のテーマに入る。会計の数字がうまくなる方法を指南してくれる。そう、この本は「数字&会計の入門書」なのである。著者は公認会計士というから企業の決算書の数字のカラクリを熟知している。しかし一般の人々はどうも数字の羅列ばかりで苦手意識を持ってしまう。そこを見透かしているかのように非常にわかりやすく平易な言葉で、しかも行間が広く、大きな字で組まれている。それで値段が700円か。本文にもあるように読みやすさを優先したようだ。確かに新書で219頁といっても内容的には1時間程度で読める。お金の出入りはほんとうに複雑である。しかしその本質的なところは決算書から数字を探し過去や他社と比較することで問題点を浮き彫りにする。

この本を読んで多少は自身の数字アレルギーが解消されたかもしれない。話を単純化するというのは簡単そうに見えて実は難しいものだ。下巻もあるとのことで機会があれば読んでみようかと思う。