ノストラダムスの家系に関するルロワの論文2008/06/29 23:49

ノストラダムスの家系に関する実証的な研究の先駆といえるのがエドガー・ルロワ博士である。当初はマイナーな学術論集にバラバラの論文として発表されていた。ジェームズ・ランディによると「一般には手に入れにくい専門誌に発表されているものなので、フランス国内でもなかなか見つからない」という。1972年にはそれらが一冊の本『ノストラダムス、その家系、伝記、作品』にまとめられ1993年には改訂増補版が出ている。1993年版の冒頭iv頁を見るとルロワが執筆した論文のリストが掲載されている。一番最初のものは1933年で最後のものは1963年、30年以上にわたってコツコツ研究していたことが知れる。

1961年エドガー・レオニにしても文献リストには1942年の「ノストラダムスの四行詩について」しか挙げていない。ルロワの研究成果については、伝記部分の欄外で1950年のビュスケの著作から引用する形で紹介している。ルロワの著作は手元にあるので内容は参照できるのだが、どういった形で専門誌に載っていたか知りたかったので1冊入手してみた。それがMémoires de l'Institut histo­rique de Provence (プロヴァンス史学会誌)第18巻、1941年でマルセイユで印刷されたもの。その3-38頁にLes origines de Nostradamus (1503 - 1566) (ノストラダムスの家系)という論文が載っている。

ルロワはアヴィニョン、カルパントラ、タラスコン、サンレミに残っていた15世紀の公証人の契約書を丹念に調査した。その結果アーカイブに残っていた文書類からノストラダムスの祖父の事跡を突き止めたのである。そうして従来伝聞情報のみで虚飾にまみれていたノストラダムスの家系を実証的に明らかにした。届いた本は背表紙もボロボロで中も日焼けして八折のままになっている。この記念すべきルロワの論文を手にするとノストラダムス研究の夜明けともいえる息遣いが伝わってくる。