絶好調の羽生が王位戦挑戦者に2008/06/19 23:55

http://www5.hokkaido-np.co.jp/49oui-challenge/
先の名人戦の余韻も冷めやらないうちに昨年のリベンジを果たすべく羽生は王位戦挑戦者決定戦の大一番を制した。上のサイトでは北海道新聞のスタッフが中継を行っていたがなかなか内容も充実していた。橋本は惜しくも初のタイトル戦出場を逃した。同世代の渡辺、山崎、阿久津らが大きな舞台に登場しているのに後れをとっていたのでチャンスをものにしたいところだったが羽生の壁は厚い。それにしても名人位に復位してほっとしていても全然おかしくないが、まったく集中力が落ちていない。まさに棋神のような印象さえ受ける。

早速棋譜を並べてみると、羽生の先手番で名人戦第六局でも採用した相掛かり引き飛車戦法。しかし今回は棒銀には出ずに腰掛け銀を選択した。二匹目のどじょうを狙うのではなく少しずつ目先を変えるのは羽生のオールランドプレーヤーとしての真骨頂である。対する橋本、振り飛車も考えられたが真っ向から相掛かりを受けて立った。後手が銀を腰掛けたところで29手目▲1五歩と端歩を伸ばしたのが瞠目する作戦。当然後手は△6五銀と出て急戦を仕掛ける。その後の展開は正直理解不能である。先手は歩切れながら45手目▲3六角成と馬を自陣に引きつける。このあたりの形勢判断はどうだったのだろうか。

結局、終盤は先手の中押しのような感じで押し切った。スリリングな終盤戦を予想していただけに少々拍子抜けした。それだけ羽生の指し回しが絶妙だったのだろう。これで深浦へのリターンマッチが決定。この勢いからして羽生ノリが多いと思うが、羽生だって好調モードがずっと続くわけがない。深浦にしてみればせっかく取ったタイトルをそう簡単に手放すわけにはいかない。接戦になれば十分防衛の可能性もあると見る。