名人戦も佳境に、第六局始まる2008/06/16 23:57

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挑戦者の羽生が奪取まであと1勝と迫っている名人戦は、大きな勝負どころを迎えている。なにせ森内はこの対局に敗れるとこれまでずっと守ってきたタイトルを手放すことになる。羽生は3勝2敗と追い込んではいるが先手番を落とすと最終局は振り駒となり、森内に流れが傾く可能性も十分考えられる。羽生としてはなんとしてもここで決めておきたい。注目の作戦はなんと相掛かり引き飛車棒銀である。このシリーズでは森内が先手番でこの戦型を選択し、いずれも作戦勝ちを築いている。羽生の心境としては「あなたの指し方はなかなか有力ですね。逆を持ったらどう指すのか教えてもらえませんか」という感じだろうか。

展開を見てみると羽生の35手目▲6六角が一つの方針を示した一手。普通の感覚では△6六同角として持久戦模様になることが予想される。しかし森内の選んだ指し手は意表の△8二飛。これでは▲4五銀と出られて歩を守れないではないか。まさか研究手ではないだろうが、それにしても後のない一局で思い切った作戦である。対して先手は銀を出る手を一旦保留して6七に筋違い角を打つ。いっきに2筋を食い破ろうとの狙いである。いったいどうやって受けるのかと見ていると飛車を浮いて44手目△2四歩。そして封じ手の局面ではこれまた意表の△9二角を打った。

狙いは単純で次に△5六歩と突いて銀のヒモを断ち切って飛車の横利きで只取りしようというもの。しかし△5六歩と突いた瞬間に▲4五銀と引けば一応受かっている。そこで封じ手の予想としては後手の筋違い角の利きから玉を遠ざける▲7九玉が有力である。△4四歩の銀挟みが気になるが玉を寄っておけば飛車を捨てるような強襲も狙える。明日の決着が楽しみである。