ノストラダムスの墓2010/05/18 21:52

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htmy/1589825314.html
紀伊国屋からノストラダムスの新刊書"The Grave of Nostradamus"(ノストラダムスの墓)という本が届いた。William NormanとRaymond J.Nabusの共著である。当初はノンフィクションかと思っていたが、実際に届いた本を見るとテーマが「哲学/ミステリ」とあり、ノストラダムスを素材にしたペーパーバックの小説である。ノストラダムス予言集、百詩篇9-7には墓にまつわる予言が登場する。「発見された墓を開く者、それをただちに閉じぬ者、その者に災いが降りかかるだろう。証明は難しいだろう、彼にとってブルトンかノルマンの王になるのが良いか否かの」この詩に出てくる墓をノストラダムス自身の墓と見なして墓荒らし除けの呪文のように受け取る解釈がある。まだ詳しくは読んでいないが、本書にその詩が挿入されているところを見ると、ノストラダムスの墓をテーマにしたフィクションといえる。

本書の裏面のレビューを読むと、「ノストラダムスの予言の謎を解く鍵はどこにあるのか。まだ見つからない秘密の手稿はどこにあるのか。予言の知られざる秘密の墓のなかで静かに眠っているのではないか。」なかなか想像力をかきたてられるシチュエーションである。もっともノストラダムスの未発見の予言をテーマとした小説は多い。先に紹介したマリオ・レディングの小説もそうだし、レナードの『ノストラダムスの遺産』もノストラダムスが発見した運命方程式を書き記した手稿を登場させていた。さて、その最大の秘密とは何か。それは定番の人類滅亡にまつわる予言である。運命の2014年6月1日午前9:15を迎える。地球に訪れる塵の雲がすべてのものを一掃する。太陽系の破滅である。唯一神を除いて生き残るものはいない・・・一気にスペクタクルの映画を見ているかのような壮大なスケールへと展開する。

この本の邦訳が出るかどうかはわからないが、ちょっと読んでみたいような気もする。そうそう、先の四行詩の解釈だが、ラメジャラーは以前ソースとして14世紀のエドワード黒太子にまつわるフロッサールの年代記を挙げていたが、2009年現在、なぜかソース不明とコメントを変更している。詩の前半だけ見れば、エジプトのツタンカーメンの王墓発掘に関する呪いと受け取れないこともないが、結局拡大解釈すればどこにでもあるような話なので、読み手に対しイマジネーションを喚起させて解釈を委ねている。実はそれが予言者の狙い通りなのかもしれない。

第68期名人戦第四局は後手三浦が力戦形に誘導2010/05/18 23:35

http://www.asahi.com/shougi/news/TKY201005180093.html
最近はめっきり更新も減ったのに毎日一定のアクセス数があるのに驚く。先週の土日は地元の神社へお宮参りとスタジオでの記念写真、病院での一カ月検診も終わり、当面通常の生活が続く。とはいえ、今大阪へ出張中。宿泊先のホテルでこれを書いている。本日から第68期名人戦第四局が始まった。見どころは三浦が再度横歩取りを選択するのか、三浦が練習していた封じ手を行うかといったところ。上のウェブを見ると、三浦が4手目△3二金と上がり角道を止める作戦を採った。一見消極的ともいえるが羽生の研究を外して自分の土俵に引っ張り込んでペースをつかもうという意図が伝わってくる。羽生から見れば本命の作戦ではないだろうが、ややありがたいと思っているのではないか。この戦型は後手が玉側に手数をかけているので攻めの形が作れていない。

つまり作戦の選択肢は先手側にあり、後手はひたすら受けまくり、あわよくば入玉を狙うという、長い持ち時間の将棋では非常にストレスのかかる展開になりやすい。三浦があえてこの将棋を選んだのは最終局になるかもしれない本局はじっくりと自分の力を出し切りたいとの思いからだろう。それがうまくいくかどうかは神のみぞ知る。まあ明日には結果がでてしまうのだが。先手の羽生の指し回しは一見自然な指し手に見えるが、中盤に向けて駒組み勝ちを目指すべく膨大な想定局面が頭の中に渦巻いていることだろう。素人目には先手は一方的に玉形を固くできそうなので穴熊を目指してみたい。封じ手の局面、またしても羽生の封じ手で四局連続である。これまでも三浦に封じ手のチャンスはあったが、避けているとしか思えない。特に局面での駆け引きというわけでもなさそうで、本局を凌ぐことで次の機会を狙いたい。

封じ手予想だが、銀取りの局面なのでここは流石に逃げる手以外にはない。90%以上▲4七銀。これに対して後手は△2五歩~△2三銀のような感じの徹底して手厚く負けにくい展開にするか。あるいは少し攻めを見せて飛車先の歩を伸ばすか。なんとか名人戦を盛り上げるためにも明日は三浦の踏ん張りが見たいものだ。