A級順位戦のラス前で佐藤康が降級決定2010/02/04 23:55

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注目のA級順位戦のラス前が昨日行われた。既報の通り佐藤康九段の降級が決まった。藤井との一戦は降級の懸かった裏の大勝負。これまでの実績からここは佐藤が凌ぐのではないかと思われたが、頑張り切れなかった。羽生世代のなかで佐藤が一足早く40代に突入している。これまでA級連続14期、名人経験者で永世称号の資格者でもある。これだけの成績を残してきた大棋士も1年の成績が不調ならば陥落するのがA級順位戦の厳しさである。残念ながら有料のネット中継は見られないので内容は週刊将棋を見てからだが、この一番にどういった作戦を採ったか、そこにもドラマが見え隠れする。佐藤は陥落の傷心を癒す暇もなく棋王戦の第一局に臨む。ここは気分転換をして振り替わりでタイトルを奪取してほしいものだ。

勝った藤井は3勝5敗となり、最終局で勝てば文句なしの残留。負けても井上が敗れれば残留と、かなり光明が見えてきた。とはいえ、何が起こるかわからないのが順位戦である。挑戦者争いの三浦-谷川戦は、谷川が途中まで有利だったようだが攻め急いで逆転負けしたらしい。谷川は連敗で一歩後退。逆に三浦はここに来て単独首位に躍り出た。仮に最終局に敗れても最低限プレーオフ出場の権利を手にしている。かなり有利な立場であるが、できれば一気に決めたいところだろう。5勝3敗で丸山、谷川、高橋が並走。このうち谷川-高橋が最終局にあるので三浦が敗れればどちらかがプレーオフに進出できる。個人的には高橋が名人戦に出れば面白いのではないかと思う。高橋は今は地味で目立たないが若手棋士からの評価は高い。名人戦であと一歩のところで中原に敗れたが、最優秀棋士にも輝いたこともある元強豪(失礼!)である。

最終局のラス前だというのに朝日ネットの速報が入ってきたのはありがたい。その前日にはC2からフリークラスへの陥落が決まった有吉九段の記事が出ている。74歳で引退。フリークラスの制度ができてからの最年長記録ではないだろうか。スポーツ選手ではとても考えられない息の長さである。有吉九段の本当に将棋が好きだという原点がここまで長くやれた秘訣であろう。お疲れさまでしたと申し上げたい。