澁澤龍彦 書評集成 ― 2009/02/16 23:52
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4309409326.html
澁澤龍彦 澁澤龍彦 書評集成 河出文庫 2008年 を今読んでいる。編集部の後書きによれば、『澁澤龍彦全集』から分野別に並べ替えて編集したオリジナル・アンソロジーである。フランス文学者として作家として様々な小説や詩についての書評である。滅多に小説を読むことがないし横文字の難しい言葉が多いので論評についていくのもやっとだが、文学作品に対する違った角度からの見方というのは大いに参考になる。作者が何を意図して書き上げたのか、その作品の背景にあるものは何か、その作品に対する澁澤氏の率直な感想、素人でも恐ろしいほどの洞察力を垣間見ることができる。
渋澤氏の作品はこれまでもいくらか読んだことがあるが、たぶんテーマについて恣意的な選択をしていたせいで今回の書評は随分と印象が異なる。もともと澁澤氏の本を知ったのは、ノストラダムス絡みで「星位にと予言」というエッセイである。『妖人奇人館』では不可思議な男たちの一人としてノストラダムスの予言が紹介されている。そのネタ本も今のところ突きとめられていない。書評のなかでちょっと気になったのが『岩田宏詩集』。岩田氏を評して「徹底的に寓話性を拒否する詩人」であるという。詩というのは多かれ少なかれ寓話性を有していると思っていた。寓話とは「ひとつの完結した宇宙、完結した世界のなかで生起する物語」としている。
こうした見方で予言集に目を向けるのも面白いかもしれない。この寓話というキーワードはどうだろうか。予言というものは、漠然とした未来に目を向けていると見えて、実は予言者のミクロコスモスの完結した世界を表象しているともいえる。ところが予言集には岩田氏と同じ側面も認められる。16世紀フランスの現実の世界であり、その具体性で地上性もある。もちろん一口で分析しようなどというのは度台無理な話で、こんなふうに想いを巡らせていくと、さらなる迷宮へと迷い込んでしまう。残りもじっくり読んでいこう。
澁澤龍彦 澁澤龍彦 書評集成 河出文庫 2008年 を今読んでいる。編集部の後書きによれば、『澁澤龍彦全集』から分野別に並べ替えて編集したオリジナル・アンソロジーである。フランス文学者として作家として様々な小説や詩についての書評である。滅多に小説を読むことがないし横文字の難しい言葉が多いので論評についていくのもやっとだが、文学作品に対する違った角度からの見方というのは大いに参考になる。作者が何を意図して書き上げたのか、その作品の背景にあるものは何か、その作品に対する澁澤氏の率直な感想、素人でも恐ろしいほどの洞察力を垣間見ることができる。
渋澤氏の作品はこれまでもいくらか読んだことがあるが、たぶんテーマについて恣意的な選択をしていたせいで今回の書評は随分と印象が異なる。もともと澁澤氏の本を知ったのは、ノストラダムス絡みで「星位にと予言」というエッセイである。『妖人奇人館』では不可思議な男たちの一人としてノストラダムスの予言が紹介されている。そのネタ本も今のところ突きとめられていない。書評のなかでちょっと気になったのが『岩田宏詩集』。岩田氏を評して「徹底的に寓話性を拒否する詩人」であるという。詩というのは多かれ少なかれ寓話性を有していると思っていた。寓話とは「ひとつの完結した宇宙、完結した世界のなかで生起する物語」としている。
こうした見方で予言集に目を向けるのも面白いかもしれない。この寓話というキーワードはどうだろうか。予言というものは、漠然とした未来に目を向けていると見えて、実は予言者のミクロコスモスの完結した世界を表象しているともいえる。ところが予言集には岩田氏と同じ側面も認められる。16世紀フランスの現実の世界であり、その具体性で地上性もある。もちろん一口で分析しようなどというのは度台無理な話で、こんなふうに想いを巡らせていくと、さらなる迷宮へと迷い込んでしまう。残りもじっくり読んでいこう。
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