情報の「目利き」になる!2009/02/04 23:59

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4480059652.html
日垣隆 情報の「目利き」になる!―メディア・リテラシーを高めるQ&A ちくま新書 2002年 を読んだ。副題にあるメディア・リテラシーというのはGoo 辞書にも載っていて「メディア(情報一般)を利用する技術や,伝えられた内容を分析する能力のこと。」とある。そこから一歩踏み込んで「広い意味での取材能力と表現力のこと」、一言でいえば本のメインタイトルにある情報の「目利き」ということになる。リテラシーを辞書で引くと原義は「読み書きができること」で、そこから広がって「ある分野に関する知識やそれを活用する能力」をいう。リテラシーはどんな分野の仕事においても身につけるべき大切なスキルなのだ。

この本では一般読者の関心を引く身近なテーマを、Q&A形式でユーモアを交えながら語りかけるように鋭いモノの見方を披露している。プロのジャーナリスト・作家らしく抜群に面白いと同時に参考になるところが多い。第19話「私の情報収集法」はまさに目から鱗が落ちた気分になった。質問者の挙げた情報源に「国会図書館、ネット、オンライン書店での検索、専門家へのインタヴュー」があるが、これらが決して主要な情報源ではないという。こうした資料を読み込む理由は「第1に、どうしても腑に落ちない点を調べ、第2に、私以外の誰かがすでに書いていないかどうかを確認し、第3に、自分の立てた幾多の仮説が専門家による旧態言説の中を貫通(ついでに破壊)するかどうかを点検する」ことにある。

すでに公表された資料を基に書くのではなく、自分にしか集められない資料や証言に基づいて書く、すなわちジャーナリズムとアカデミズムの合体が情報収集術の基本であるという。確かにひとつの理想的な形である。あとがきにあるように、現代の情報の洪水のなかでウソ情報を見抜き、自分にとって必要な情報を収集・分析し、伝えたい事柄を的確に表現する「技術」は万人に必要とされる。この本をお手本にして少しずつでも実践していけたらと思う。