竜王戦挑戦者決定戦三番勝負は羽生が先勝2008/08/29 23:49

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今しがた対局が終了した。入玉模様の将棋というわけでもないのに191手の長手数。ところどころネット中継を見ていたが、まさしく死闘だった。木村は受けの強さ、辛抱強い粘りが身上、本局は随所に持ち味を見せたが羽生は強すぎる。その終盤力は神がかり的としかいいようがない。どんな苦しめの将棋でも最後には勝ってしまう。なにやら七冠制覇した当時のオーラが蘇っているような感じも受ける。木村と羽生、ネームバリューでは羽生が断然勝っているのは誰しも認めるところ。しかし木村も今が一番力を出せる年齢に差し掛かっている。木村は前評判を覆して何としてでも羽生を負かして挑戦者になりたい。が、羽生の牙城は限りなく険しい。

羽生の先手で相矢倉になった。つい数日前の王位戦第五局とまったく同じ形の定跡形。しかし人が変われば指し方も変わるもので木村は積極的な受けで羽生の攻めを迎え撃つ。矢倉は攻めている方が勝率が良い、といっても安易に攻めると切れてしまう。木村は自信満々に受けていく。受けは攻めと違って受け損なうとあっという間に敗勢になってしまう。正確に受けるためには相手の出方をつぶさに読んでおかなければならない。普通は一方的な受けの展開が続くと精神的なストレスが続くためどこかでミスが出やすい。その点木村は受けの極意を悟っているので自滅することは少ない。しかし先手が正確な応手で攻めてきたときに単純な受けでは勝てない。受けにも勝負手が必要になる。

70手目の△3五歩なんかが相手の読みを外した、らしい手である。感想戦によれば130手目の△6九竜が良くなかったらしい。本手は△4八竜でこれなら難しいという。135手目▲6六桂と王手をかけて先手の勝ち筋。しかしその後も木村は延々粘る。ずっと昔にやはり挑戦者決定戦で羽生に一手頓死を食らわせたのを思い出す。この粘りが次の第二局につながるだろうか。