竜王戦は羽生が勝って挑戦者決定戦へ2008/08/19 23:56

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やはり羽生は強かった。角換わり腰掛け銀の先後同型からの仕掛けは升田定跡といわれ丸山が最も得意とする形である。それを羽生はあえて受けて立った。もっともこれまでこの形で羽生は後手を持って2勝1敗と勝ち越している。さらにこの形は実戦例が多く中盤まで定跡化されている。この形を目指す先手は当然なんらかの研究手を用意しているだろうから受ける側が大変である。一時は先手勝率が6割を超えたこともある先手の優良戦法であったが後手の対策も進んでおりスペシャリストの戦法に戻った感じがする。最近の羽生は定跡の確立されていない力戦形を採用することが多かったが、さすがにオールランドプレイヤーである。

定跡通り丸山が仕掛けるが、51手目▲2九飛が大きな分岐点。少し前には▲2六飛と浮く形が有力視されていたが自信が持てなかったか、丸山は旧式の指し方を選んだ。それ以降も前例のある手順に進んでいく。手を変えたのは羽生のほうで86手目△4三同金としてやっと未知の局面に突入した。ここまでの展開は羽生-森内の名人戦で羽生は先手番で経験済である。丸山はいったいどこまで研究してきたのだろうか。本音は語らないだろうが興味がある。93手目▲5三角と王手金取りをかけたところでは先手の技ありと思える。上の局面、王手を決めてから114手目△3一歩と打ったのが気付きにくい羽生マジック。これを見て将棋世界の付録「プロが驚いた羽生の終盤術」のNo.1渡辺竜王の項を思い浮かべた。

羽生の終盤の読みは正確無比。ほとんど間違えることがないので通算7割を超える勝率をキープできている。この将棋では先に1分将棋に追い込まれたが、持ち時間の残っていた丸山が終盤間違えて優勢な将棋を落としてしまった。これでいよいよ羽生の竜王戦登場が現実味を帯びてきた。渡辺-羽生の待望のカードはもうそこまで近づいている。