ゲーテに学ぶ幸福術2008/08/12 23:58

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4106035456.html
木原武一 ゲーテに学ぶ幸福術 新潮選書 2005年 を読み終えた。ついこの間『ゲーテの言葉』を読んだばかりだがもう少しゲーテの選りすぐりの言葉を読んでみたいと手に取った本である。この本ではゲーテの言葉を六つの分類に分けてその考え方が現代の日本でどんな時に当てはまるか、あるいは役立つのか著者の身近な例を挙げて丁寧に解説している。人間が幸福かどうかというのはある意味では気の持ちようで、辛い局面でも考え方の視点を変えることでうまく乗り切れるはず。本書は悩めるあなたに幸せになるエッセンスを伝えてくれる。

第一章の「生きた、愛した、悩んだ」は人生を恋する女性とともに生きてきたゲーテならではの言葉が集められている。二章「人は努力する限り救われる」や三章「他人の長所だけを考えよ」、四章「この世界を動かしているものは何か」には現代のビジネスマンにも大いに役立つ考え方がある。五章「バラとリンゴ」と六章「仕事のなかに自分がある」は自分自身の内面との語らいによりより充実した日々の生活を送る糧となる。ある意味ゲーテは万能人であった。「はじめに」ではゲーテの略歴が簡潔に紹介されている。弁護士の資格を取得し、小説を書くかたわらヴァイマル公国の財務行政担当し君主に次ぐ地位に就く。詩や戯曲、小説などの創作のほかにも自然科学の研究も行った。

色彩論や植物学、鉱物学、気象学にも強く関心を持っていたという。こちらのほうは現実の実務に生かされる実用的な学問である。こうした様々な分野に活躍しているゲーテの言葉だけに説得力も出てくる。本書を通読してみて「人生に悩んだらゲーテに聞け」という宣伝文句もなんとなくわかるような気がする。