あなたの知らない都市伝説の真実 ― 2014/05/10 22:51
書籍の業界にもいろいろなビジネスモデルが登場している。一般書店で扱わない廉価本がコンビニに置かれるようになって10年以上経つという。現在コンビニの雑誌コーナーはコンビニコミックとかワンコインといわれる廉価版コミックが短いサイクルで入れ替わっている。その大部分は過去の人気漫画本を再編集したもののようだが、なかには雑学的なオカルトものも書下ろしという形で出版されている。本の一部にノストラダムスを扱ったものもあるがすべてのコンビニ本を把握するのは大変だ。
ノストラダムスの大事典ではノストラダムス関連のコンビニ本の一覧にコンビニ本という分類で紹介してくれている。その都度コンビニに行って購入してはいるが、ノストラダムスに関する内容はほとんどが陳腐でインターネット上の情報のコピペしたようなものが多い。コンビニ本は500円という廉価を売りにしているため原価を極力抑えなければならない。そのためいろいろなところからのコピペで張りぼてのような内容で急拵えしてはあっという間にコンビニの棚から消えていく運命にある。
先日近所の紀伊国屋書店を訪れたとき、本の背表紙にノストラダムスの肖像を見つけた。『あなたの知らない都市伝説の真実』(Gakken、皆神龍太郎著、2014.4.30発行)である。定価が510円(税別)なのでコンビニ本に分類されると思われるが、内容は他のコンビニ本と比べて文章構成も割としっかりした印象で各テーマの末尾に参考文献も挙げられている。皆神氏はと学会員運営委員、ASIOS会員としてオカルトの懐疑的な著作も多いし、ジェームス・ランディのノストラダムス本の監修も行っている。
この本にはノストラダムスの肖像が背表紙や表紙に使われているのでどんな取扱いをしているのか、期待を膨らませて頁をめくってみると第四章に「ノストラダムスの大予言」とある。わずか4頁の文章だが、どこかで読んだような記憶がある。手元の雑誌を調べてみると、2011年11月25日に発行された『怖い噂』VOL.11の「こうして世界はだまされた―多くの人がトラウマのようにだまされた「ノストラダムスの大予言」」とまったく同じ文章のコピペであることが判明した。
この文章はもともと『トンデモ本の大世界』に載せた文章の短縮版のようで一粒で3度おいしいというところか。もちろん同じ著者が同一の文章を他に転用しても著作権の問題はないのであろうが、いまさらながらノストラダムスを看板に使っただけに残念である。とはいえ今新味を出すのは難しいだろうけれども。そもそもワンコインブックなんてそんなに手間暇かけていられないだろうし、既出の素材を切り貼りするのもやむを得ない。ただ読み物として充実していることは付け加えておこう。
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