第51期王位戦第二局は先手深浦が対振り穴の秘策を披露2010/07/28 00:44

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毎日蒸し暑い日が続いている。ニュースでは毎日のように熱中症で亡くなった方のことが報じられている。体調には十分気をつけて乗り切っていかなければと思う。夏本番を迎えて風物詩ともいえるタイトル戦、王位戦第二局が始まった。第一局は挑戦者の広瀬が振り穴で先勝。その独特の感覚と終盤の切れ味は驚異的である。深浦は公式戦で広瀬に相穴熊で2連敗を喫している。たぶんここまで戦ってみて相穴熊は相手の土俵と感じたに違いない。連敗スタートは避けたい深浦の用意した振り穴対策は▲6六角戦法。対振り飛車に▲6六角と出る指し方は昔角田七段が得意としていて角田流と呼ばれている。

自分も学生時代角田流を研究し実戦に使ったことがある。もっとも相手は美濃囲いで▲6六角から銀を繰り出して端攻めを狙うといったもの。対振り穴には地下鉄飛車から玉頭直撃の端攻めが定跡化されており、時折NHKの将棋講座などでも解説されている。広瀬は本気でタイトル奪取を目指している。もちろんエースの振り穴を投入するのは目に見えている。深浦は17手目▲6六角と出て8筋の歩を交換する作戦を見せた。あと3筋で1歩持てば狙いの端攻めを決行することができる。局面はそうした形で進んでいる。封じ手の局面を見ると銀と飛車が左辺に残っている感じで先手のほうが指し手がわかりやすい。図は先手が▲8五桂と跳ねたところ。

ここで広瀬が封じ手にしたのはいいタイミングである。後手の指し手がいろいろと考えられるので的を絞らせないというメリットが大きい。気分的には後手が優位に立てたのではないだろうか。広瀬の棋風からすると△6六歩の突き捨てが有力と思われる。先手は一応攻勢を取ってはいるが、自玉が薄いため常に後手からのカウンターを警戒する必要がある。後手は左銀を中央に持っていき、いいタイミングで飛車を7筋に転換できれば振り穴側が有利になる。どういう展開になるか楽しみである。