ジャン・ル・ルー『ノストラダムスの鍵』の復刻本2010/04/10 23:35

久しぶりに紀伊国屋のブックウェブで何冊か洋書を注文した。そのなかにジャン・ル・ルーの"Le clef de Nostradamus, 1710"(ノストラダムスの鍵)の復刻本がある。ル・ルーの本はすでにインターネット上で公開されたものを電子データで閲覧することができる。マリオのウェブサイトでは、デジタルライブラリ(http://www.propheties.it/digitallibrary.htm)の1710-002によって、かつてダニエル・リュゾの蔵書だったものが鮮明なカラー画像で公開されている。あるいは以前本ブログでも紹介したように(http://asakura.asablo.jp/blog/2007/07/16/1659227)グーグル・ブック検索でもpdfファイルでダウンロードが可能となっている。とはいえ536頁もの大著をすべてプリントアウトするのもそう簡単ではない。やはりブックの形で手許に置いておきたい一冊であるので敢えて頼んでおいたのだ。

頁をめくると、全くクリーニングしていないオリジナルのコピーで、手書きの書き込みなどもそのまま復刻されている。表紙の裏側にはオクスフォード大学の蔵書印が押してある。見覚えがあると思ったら、グーグルブックで公開されている電子データそのままを製本した形である。紀伊国屋のウェブページでリンクを張ろうとしてみたが、商品データがすでに削除されていた。先月の時点では注文可能だったものが抹消されているのは不可解である。復刻本の注意書きに"Nabu Public Domain Reprints"が載っている。アメリカでは1923年以前の出版物のオリジナルについては、パブリック・ドメイン(公有財産)になるという。今後もノストラダムスの重要文献がこうしたスタイルでブック化されていくのは大変喜ばしい。

価格は\3,354、大判サイズのペーパーバック。おそらくオンデマンドブックなのだろう。ちなみに背表紙が真っ白というのは少々さびしい感じがする。欲を出せば限がないが、オリジナルの書誌情報や著者に関する解説を数頁でも付けてくれると価値が増すのだけれども。しかしパブリックドメインというスタンスから言うと復刻部分以外に著作権が発生するテクストを載せるのは少々具合が悪いのかもしれない。