竜王戦は劇的な幕切れで渡辺が防衛した2008/12/19 01:27

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長かった竜王戦が終わった。将棋界の歴史に残る一日となった。ニュース番組の報道ステーションでも竜王戦第七局の模様が報じられていたように、結果は渡辺が勝って初代永世竜王の資格を得た。羽生は残念ながら永世七冠の偉業達成は持ち越しとなった。それにしても勝ったほうが初代永世竜王、羽生は永世七冠、渡辺は将棋界初の3連敗4連勝が懸かっているという超プレミアがついた対局はまさしく空前絶後であろう。最終局への一般の注目度が高いのも純然たるトップ同士の命がけの戦いであるからだ。渡辺が3連敗した時点でこのような結末を迎えるとは誰も予想できなかったに違いない。それほどまでに衝撃的な防衛劇であった。

封じ手は大方の予想通り▲9一と。対する後手の△5四銀も自然である。この局面をどう見るかだが、やはり先に香得している先手が指しやすそうである。この後は一気に終盤戦に突入する。激しい攻め合いなのですぐにでも終わるかと思われたが、さすがに最高峰のタイトル戦らしく形勢のバランスが保たれていたようだ。74手目△6五桂が、敵玉に迫り角が金に当たる一石二鳥の好手。後手に流れが傾き始めたと思えたが持ち時間もすでに僅か。終盤何度か形勢が入れ替わったのではないか。まさに手に汗握る大熱戦であった。95手目▲6六角が逆転を秘めた羽生マジックかと沸き立ったが、渡辺は秒読みにもかかわらず勝ちを焦らないで冷静に対処できたのが勝因であろう。

渡辺は秒読みのなか40手以上も指し続けたが、難しい局面でも正確な指しまわしが光った。先の朝日の短時間の将棋がいい感じで自信を取り戻したのだろう。当代の覇者羽生を破っての永世竜王は大きな価値がある。ひょっとすると、この対局が今後の将棋界のターニングポイントとなるかもしれない。渡辺は格がついたのだからこれでホッとすることなく貪欲にA級昇級を勝ち取ってほしい。羽生は休むまもなく王将戦が始まる。早く本来の調子を取り戻してほしいものだ。