竜王戦第五局は相矢倉の最新形に2008/12/04 23:49

http://live.shogi.or.jp/ryuou/index.html
早いものでついこの間第四局が行われたと思ったらその一週間後にはもう第五局が始まった。渡辺の奇跡的な逆転勝ちから興奮がまだ冷めやらぬうちに次の対局へと進んでいく。竜王戦は年末にかけて毎週対局がある過密スケジュールになっている。渡辺も勢いに乗れればまだまだ羽生を追い詰めることが可能である。そのためにも本局の先手番はブレイクしておきたいところだ。注目の羽生の作戦は、第一局、第三局で採用した一手損角換わりとはうって変わって矢倉を選ぶ。普通に考えると後手番の矢倉は守勢になるし、ましては矢倉は渡辺の得意戦法である。敢えて相矢倉を受けて立ったのは何か秘策があるはず。

棋譜を並べてみると、おなじみの飛先不突き矢倉の▲3七銀戦法。これだけ数多く指されているのに、いまだに同じ形が出現するというのだから矢倉戦法は間口が広く変化無限である。羽生は銀を囲いに引きつけて専守防衛の構えをとる。これも定跡形で実戦例も豊富である。先手は47手目▲6五歩から角を攻める。これに対し羽生の試したかった手が50手目の△2一玉ではないだろうか。今年の10月に宮田五段が指した手で後手が勝っている。51手目▲7五歩から渡辺-羽生戦が始まった。果たして渡辺はこの局面を想定していただろうか。後手から△4五歩の反撃が見えているだけにこの辺りで形勢に差のつく可能性がある。

封じ手の局面は後手が△4五同桂と桂馬を取ったところ。これを▲同銀では△4四歩で銀が死んでしまう。一目▲7四歩と打ちたいが△6二角から4四に出られる筋が気になる。先手からの▲7七角は後手玉が2一なので響きが薄い。攻め方に迷うところだけにここは一旦▲1五歩としたい。△同歩はほぼ必然なので一晩で攻め筋をじっくり考えたいところ。渡辺は負けると後がない背水の陣。悔いの残らないようスリリングな終盤戦を期待したい。