漂流記の魅力 ― 2008/03/31 23:58
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4106100029.html
先週末、熱海に一泊二日の旅行に出かけた。初日は天気もよく熱海城の桜も満開でまさに花見日和、そこに芸子さんの一団が花を添える。二日目はホテルからすぐのところにある汽船の乗り場から初島に向かった。あいにく天気は悪かったが、島のなかを散策しながら周り一面の海の景色を堪能した。海の彼方を眺めていると、ふと、この本のことを思い出した。吉村昭 漂流記の魅力 新潮社新書 2003年。海外では十五少年漂流記やロビンソン・クルーソーなどの海洋文学が有名である。著者によれば日本にもすぐれた漂流文学があったという。
この本はそのイントロダクションといえる。江戸時代には積荷を伴った多くの船が日本海側、太平洋側で行き来している。日本海側は比較的波が穏やかであるが、太平洋側は波が荒れて自由がきかなくなり、挙句の果てには漂流の憂き目に遭う船も少なくなかった。漂流船は黒潮に乗って北方のほうに流され、運が良ければロシアの船に助けられることもあった。この本のメインテーマは若宮丸の四人の水主たちの数奇な運命である。遭難してから奇跡的に日本に帰還、それぞれの故郷に戻るまでの生々しい記録は読む者の胸を打つ。
ロシアから帰国の許可をもらい希望に胸を膨らませて長崎までたどりついたが、幕府とロシアの双方の思惑のなかで翻弄される。せっかく戻れても現実はそう簡単に受け入れられるわけではない。その中で心の病からか自ら喉に刃物を向けた人もあった。帰郷後一ヶ月で亡くなったのはさぞ無念だったろう。日本側の記録は『環海異聞』で、ロシア側のレザノフの日記は岩波文庫にあるようだ。機会があれば読んでみたいと思う。
先週末、熱海に一泊二日の旅行に出かけた。初日は天気もよく熱海城の桜も満開でまさに花見日和、そこに芸子さんの一団が花を添える。二日目はホテルからすぐのところにある汽船の乗り場から初島に向かった。あいにく天気は悪かったが、島のなかを散策しながら周り一面の海の景色を堪能した。海の彼方を眺めていると、ふと、この本のことを思い出した。吉村昭 漂流記の魅力 新潮社新書 2003年。海外では十五少年漂流記やロビンソン・クルーソーなどの海洋文学が有名である。著者によれば日本にもすぐれた漂流文学があったという。
この本はそのイントロダクションといえる。江戸時代には積荷を伴った多くの船が日本海側、太平洋側で行き来している。日本海側は比較的波が穏やかであるが、太平洋側は波が荒れて自由がきかなくなり、挙句の果てには漂流の憂き目に遭う船も少なくなかった。漂流船は黒潮に乗って北方のほうに流され、運が良ければロシアの船に助けられることもあった。この本のメインテーマは若宮丸の四人の水主たちの数奇な運命である。遭難してから奇跡的に日本に帰還、それぞれの故郷に戻るまでの生々しい記録は読む者の胸を打つ。
ロシアから帰国の許可をもらい希望に胸を膨らませて長崎までたどりついたが、幕府とロシアの双方の思惑のなかで翻弄される。せっかく戻れても現実はそう簡単に受け入れられるわけではない。その中で心の病からか自ら喉に刃物を向けた人もあった。帰郷後一ヶ月で亡くなったのはさぞ無念だったろう。日本側の記録は『環海異聞』で、ロシア側のレザノフの日記は岩波文庫にあるようだ。機会があれば読んでみたいと思う。
最近のコメント