常識の壁2008/03/27 23:51

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4121501187.html
ここのところずっと休日返上状態だったがようやく一息ついた。いつもながら年度末はバタバタすることが多い。これも一種の常識(?)なのだろうか。菊池哲郎 常識の壁 中公新書ラクレ 2004年 を読んだ。ところどころに時事ネタが盛り込まれているので少々古びた感じもするが事の本質は変わらない。まずは常識を疑ってかかれと、逆の視点でいろんなテーマについて論じているが、エッセイなのでどこまでが本気なのか、測りかねるところもある。そのなかでものけ反ったのが郵政民営化ならぬ政府の民生化の話である。「常識」的にはそんなことが実現するはずがない。

しかし。こうした先入観こそが常識の壁を破れていない証拠だ。常識というものは時代の関数であり、刻一刻と変わっていくものである。年を重ねていき経験知が蓄積されてくると、頭が固くなってしまい新たな発想の邪魔になることも多い。お役所の前例主義なんかはその最たるものである。国家であれ社会であれ会社であり、常識を支える要素は既得権の保護にある。常識をかざして保守に徹すれば一見不安定な未来の担保を取れたような気になる。仮になにか大きな変革が起こったとしても時の流れとともにそれが常識になっていく。神の見えざる手が働いていいところに落ち着くものだ。

モノの見方なんか十人十色、いろんな角度で見ていけば同じものでも白く見えたり黒く見えたりすることもあろう。まわりと同じことをしたってなにも面白くない。社会生活に影響する破天荒なことは別にして、著者がいうように、それぞれが好きなことをやっていけばよいというのも一理ある。金太郎飴みたいに皆が同じ顔じゃつまらない。これからもできるだけ頭を柔らかくして、どんどん「常識の壁」を打ち破ってみたいと思った。