Shinsenpou World Blog

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4532110939.html
渡辺三枝子・平田史昭　メンタリング入門　日経文庫　2006年　を読んだ。昨今企業を取り巻く社会的環境はますます厳しくなっている。何か問題が起こったときの対処の仕方ひとつであっという間に社会的な信頼を失い存続の危機に立たされるケースも見られる。企業に不正のない健全な活動を推進するシステムとしてコンプライアンスやCSRなどの横文字が飛び交っている。メンタリングというのはまだまだ実際の現場で浸透しているとはいえない。多くの企業では人を育てる一環としてOJTなどを行ってきた。メンタリングとは仕事上のコツや人間関係の築き方などを上司以外の人間がアドバイスして、相手のキャリア発達をサポートすることだ。

この本では実際にメンタリングをする人、すなわちメンターの立場の人がいい形のメンタリングを行うには何に気をつけなければならないか、いろいろな事例を挙げて解説している。職場のなかには先輩もいれば後輩もいる。アドバイスを受ける場合もあればアドバイスを与える場合もある。メンターがメンティに伝えられること、それは自分自身がいまわかっていること以上にはありえない。そのため経営について体系的に勉強したり、組織、事業、仕事、職場、人の心理やかかわりについてメンティが疑問に感じること、問題点を納得いくように説明する必要がある。メンティの素直な疑問はときどき事の本質を鋭く突いたものがある。

そんなときはメンティ自身も成長するチャンスなのである。目的意識を持ったキャリアアップにもつながってくる。会社組織の一番の財産はヒトである。次世代を担う企業人を育てるのも、目先の利益とは別に長期的な視点では重要である。この本が主張しているように、今後企業においてメンター制度の導入が広く普及していくのだろうか。