ノストラダムスの手稿2008/02/10 23:40

今日はたまたまパリの国立図書館に保管されている、ノストラダムスの手稿を調べてみた。カタログに載っている手稿は必ずしもノストラダムスの自筆原稿とは限らない。あくまでもノストラダムスに関わる手書きの原稿でしかない。以前にも紹介した、1939年の総合カタログのミシェル・ノストラダムスとセザールの項に載っているナンバーに対して、ショマラの挙げたリスト及びビブリオテク・ノストラダムスの画像データを比較してみた。するとセザールの手稿に関しては全てが判明したが、少々疑問も生じた。カタログで9531とあるのはショマラの手稿リストから<<Clarorum virorum epistolae ad D.D. Michaelem Nostradamum...>>とわかった。

ショマラによると、その内容は「天文学、占星術、音楽に関する寄せ集め」でクロード・ファブリ・ド・ペイレスクの文書および書簡である。手稿の実物はビブリオテク・ノストラダムス1566-001で見ることができる。それは279頁からなる文書でところどころに占星図が挿入されている。すべてラテン語で記されているので細かい内容まではわからない。表紙のタイトルが同じなので同一文書と思われるが、管理番号がBNF ms lat 8592となっている。もう一度マリオの注釈を見ると、ジャン・デュペーブの名前がある。試しにデュペーブの『ノストラダムス未刊行書簡集』(1983)を開いてみるとテクストが一致していた。

この手稿こそが未刊行書簡集のオリジナルといえるものである。最後のページを見ると確かに51篇の書簡が収められている。パリ国立図書館のカタログ1939年の時点でその存在が確実であったが、何故か管理番号が現在と異なっている。この辺りの経緯はどうなっているのか。1629年2月4日セザールがペイレスクに書いた手紙もカタログのナンバー9538に保管されている。そこにはセザールが手紙を引き渡した経緯に触れている。これがデュペーブの本の序文の冒頭に紹介されたものだ。