将棋随筆名作集 ― 2008/01/23 22:59
越智信義編 将棋随筆名作集 三一書房 1998年 を読んだ。改めてわかったのは将棋は日本の古来より伝わる大衆文化であるということ。同時にその昔将棋指しはおおよそ職業として成り立っていないほど貧しかった。そうした時代から羽生七冠誕生までの現代に至るまで、将棋界のなかはもちろんその周辺に生きた人たちの著した珠玉のエッセイが収められている。このブログでも素人ながら将棋にまつわる感想を書いているが、やはりその道に長けた方々の精魂込めた文章は感銘を受ける部分が多い。
現在の将棋界は主として各新聞社が主催する棋戦の棋譜を新聞に載せることで契約金が入り、連盟の収入の基盤となっている。本書の冒頭を飾っている「名人戦の始まった頃」は将棋指しの時代から棋士へと変わり行く過渡期で、現代の新聞棋戦の先駆けとなった。その画期的あるいは革命的な出来事の同時代の貴重な証言である。昭和10年のことだから将棋の長い歴史を考えるとたかだか70年くらいしか経っていない。現在の棋士は恵まれていると言わざるを得ない。道なき道を歩んできた先人たちの苦労は並大抵ではなかったはず。そして時代とともにしくみや制度も変わっていく。
今週の週刊将棋に「師匠は弟子に将棋を教えるか」というテーマで論評が載っている。本書の高柳夫人の「勝負師の子勝負師の妻」では内弟子時代の芹沢や中原のエピソードが面白い。もちろん昨今の師匠と弟子の関係は当時とはまったく異なる。この時代に師匠の家に住み込みで内弟子修業をするというのは聞いたことがない。昔の名棋士が年輪を重ねても丈夫で頑張れるのは内弟子時代の経験がメンタルな強さを作り上げたのではないかと思える。将棋の技術をアップするため直接弟子に将棋を教える師匠が増えている。しかし本当に教えなければならないのは、いやな雑用でも我慢してやる忍耐力でないだろうか。
現在の将棋界は主として各新聞社が主催する棋戦の棋譜を新聞に載せることで契約金が入り、連盟の収入の基盤となっている。本書の冒頭を飾っている「名人戦の始まった頃」は将棋指しの時代から棋士へと変わり行く過渡期で、現代の新聞棋戦の先駆けとなった。その画期的あるいは革命的な出来事の同時代の貴重な証言である。昭和10年のことだから将棋の長い歴史を考えるとたかだか70年くらいしか経っていない。現在の棋士は恵まれていると言わざるを得ない。道なき道を歩んできた先人たちの苦労は並大抵ではなかったはず。そして時代とともにしくみや制度も変わっていく。
今週の週刊将棋に「師匠は弟子に将棋を教えるか」というテーマで論評が載っている。本書の高柳夫人の「勝負師の子勝負師の妻」では内弟子時代の芹沢や中原のエピソードが面白い。もちろん昨今の師匠と弟子の関係は当時とはまったく異なる。この時代に師匠の家に住み込みで内弟子修業をするというのは聞いたことがない。昔の名棋士が年輪を重ねても丈夫で頑張れるのは内弟子時代の経験がメンタルな強さを作り上げたのではないかと思える。将棋の技術をアップするため直接弟子に将棋を教える師匠が増えている。しかし本当に教えなければならないのは、いやな雑用でも我慢してやる忍耐力でないだろうか。
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