ノストラダムスが見た未来の世界大戦2007/12/24 23:18

日本で最初にノストラダムスを紹介した仏文学者が渡辺一夫氏であることはこの業界では有名である。渡辺氏は1947年11月「ある占星師の話―ミシェル・ド・ノトルダム(ノストラダムスの場合)」という小論を発表した。この論考は1949年には『ルネサンスの人々』(鎌倉文庫)に収録された。その後1964年3月に改稿されて『フランス・ルネサンスの人々』として刊行された。この文章は現行の白水社版にもそのまま使用されている。ところが『渡辺一夫著作集4』のルネサンス雑考 中巻 C フランス・ルネサンスの人々(1946年-1964年) 五 ある占星師の話(ノストラダムスの場合)には、1970年3月の付記がついている。

そこには1966年のユタンの解説書より1999年に起こる「人類を見舞う最終的な危機」についての言及がある。これは五島氏の『大予言』以前に1999年の危機を紹介したものといえる。さらに付記の冒頭に1952年に出版された『ノストラダムスが見た未来の世界大戦』に関する記述もある。著者はジョルジュ・マドレーヌ、194頁のペーパーバックだ。構成は第一部「ノストラダムスと過去」で伝記と伝統的な解釈の紹介、第二部「ノストラダムスと我々の時代」では1955年の近未来から1975年にいたるシナリオを四行詩の注釈とともに展開している。その最終章「戦争の終結から2000年まで」では例の1999年の四行詩を引用している。

そこには「なにも世界の終末が予告されているわけではなく、意味はいたって平凡に過ぎない」とし、恐怖を抱かせる偉大な指導者が空からの行動を通じてその権力のもとアングレームの大王を復活させる、としている。これはフォンブリュヌ系統の解釈であろう。ただし、世界の終末との関連を解釈した説を意識した文章といえる。渡辺氏が皮肉を込めて書いているように1970年代の日本の「経済大国」については何の予測もされていない。