ノストラダムス、1558年版予言集の実在性 ― 2007/02/21 23:43
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ノストラダムス予言集の生前の版は、1557年アントワーヌ・デュ・ローヌが印刷したものが最終で、セザールへの序文と百詩篇七巻までの642篇の四行詩を含んでいる。アンリ二世への書簡と八巻以降300篇の四行詩は、現在確認しうる最古の版本は1568年ブノワ・リゴーによるものだ。書簡の日付が1558年になっていることから、予言集第二部がこの年に印刷されたと推定する研究者もいる。ビブリオテク・ノストラダムス(ノストラダムスライブラリー)の0033、0033b、0035にはベナズラやショマラの書誌を引用する形で仮定的な1558年版予言集をリストアップしているがすべてLost edition (失われた版)とコメントしている。
0033は、リゴーの印刷したタイトルと同じであり予言集第二部を分冊した形で印刷した可能性も考えられる。そのスタイルを踏襲したのが1568年版と見る向きもある。0033bはアヴィニョンの印刷とされるがこれはどうも疑わしい。1555年アヴィニョン版も後年印刷された海賊版と考えられることから同じ扱いをせざるを得ない。最後にジャン・ド・トゥルヌが印刷したとされるものだが、そのタイトルが特異である。「ミシェル・ノストラダムスの十巻の百詩篇の予言集」これはアルフレッド・カルティエがトゥルヌの出版の書誌で紹介したタイトルで内容の詳細は不明。
筆者は1558年版予言集をブノワ・リゴーが印刷したという意見には否定的である。しかし1557年版と1568年版の中間の版本、それもごく少数部数が印刷された可能性が高いと考える。その候補としてトゥルヌは有力である。理由として、ベニス共和国大使やスペイン大使が1560年頃に十巻のある四行詩に言及している点が挙げられる。その後1558年版を校訂して予言集完本を刊行したいと思うはずだ。それが死後版になったのはやはりアンリ二世の予期せぬ崩御が影響したのではないか。書簡を宛てた国王が死去してしまい、刊行するタイミングを逸した―と見ても不自然ではない。
1558年版の直接の原本を発見するのはもう無理かもしれない。しかし、この作品が本当に実在したならば、これに言及した第三の書誌あるいは批判本が残っていてもいいはずだ。この1558年版予言集というのは、ノストラダムス・ファンにとっては見果てぬ夢であり、今も誰も解き明かしたことのない最大のロマンなのである。
ノストラダムス予言集の生前の版は、1557年アントワーヌ・デュ・ローヌが印刷したものが最終で、セザールへの序文と百詩篇七巻までの642篇の四行詩を含んでいる。アンリ二世への書簡と八巻以降300篇の四行詩は、現在確認しうる最古の版本は1568年ブノワ・リゴーによるものだ。書簡の日付が1558年になっていることから、予言集第二部がこの年に印刷されたと推定する研究者もいる。ビブリオテク・ノストラダムス(ノストラダムスライブラリー)の0033、0033b、0035にはベナズラやショマラの書誌を引用する形で仮定的な1558年版予言集をリストアップしているがすべてLost edition (失われた版)とコメントしている。
0033は、リゴーの印刷したタイトルと同じであり予言集第二部を分冊した形で印刷した可能性も考えられる。そのスタイルを踏襲したのが1568年版と見る向きもある。0033bはアヴィニョンの印刷とされるがこれはどうも疑わしい。1555年アヴィニョン版も後年印刷された海賊版と考えられることから同じ扱いをせざるを得ない。最後にジャン・ド・トゥルヌが印刷したとされるものだが、そのタイトルが特異である。「ミシェル・ノストラダムスの十巻の百詩篇の予言集」これはアルフレッド・カルティエがトゥルヌの出版の書誌で紹介したタイトルで内容の詳細は不明。
筆者は1558年版予言集をブノワ・リゴーが印刷したという意見には否定的である。しかし1557年版と1568年版の中間の版本、それもごく少数部数が印刷された可能性が高いと考える。その候補としてトゥルヌは有力である。理由として、ベニス共和国大使やスペイン大使が1560年頃に十巻のある四行詩に言及している点が挙げられる。その後1558年版を校訂して予言集完本を刊行したいと思うはずだ。それが死後版になったのはやはりアンリ二世の予期せぬ崩御が影響したのではないか。書簡を宛てた国王が死去してしまい、刊行するタイミングを逸した―と見ても不自然ではない。
1558年版の直接の原本を発見するのはもう無理かもしれない。しかし、この作品が本当に実在したならば、これに言及した第三の書誌あるいは批判本が残っていてもいいはずだ。この1558年版予言集というのは、ノストラダムス・ファンにとっては見果てぬ夢であり、今も誰も解き明かしたことのない最大のロマンなのである。
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