1627年ジャン・ユグタン版ノストラダムス予言集2007/02/03 17:24

http://biblionostra.ath.cx/1600.html
Bibliotheque Nostradamus(ノストラダムス・ライブラリー) の#0211aにユグタン版予言集のオリジナル版カラー画像がアップされた。早速ダウンロードして内容を確認したところ、まずリュゾ・ライブラリの蔵書マークは見られなかった。いったいどこから仕込んだのだろうか?含まれているテクストはセザールへの序文、アンリ二世への書簡、百詩篇第一巻から第十巻、六巻100番にラテン語詩が置かれているはブノワ・リゴー版と同じ。

ところが七巻には44篇含まれており、43番と44番(ユニコーンとブルボンの詩)はこの版本が初出とされる。十巻の最後には101番の四行詩が見られるが「1568年以降追加された・・・」の但し書きはない。その次に百詩篇十一巻の表紙に続いてヴァンサン・セヴの書簡、58篇の六行詩が続く。そして最後に百詩篇十一巻と十二巻の補遺が載っている。予兆集の四行詩は見られない。

注目すべきはセヴの書簡の日付である。シュヴィヨ版では1605年3月19日だったのがユグタン版では1606年3月19日になっている。単なる誤植なのか、その理由はわかっていない。この版本はマテリアルを考える上で非常に重要である。1605年版予言集に見られる予兆集がこの時点でもまだ補遺として確立していないのだ。一方百詩篇の十一巻と十二巻はシャヴィニィの作品から取られたのに何故か六巻100番は組み入れられなかった。

七巻に新たな2編の四行詩が出現したが1630年のリュオー版には載っていない。この版本を参照しなかったからであろう。ちなみにリュオー版には六巻100番や七巻、八巻の補遺が含まれ、十巻101番は番外、百詩篇十一巻、十二巻の補遺、そして予兆集を含んでいる。ただし、何故かリュオー版のセヴの書簡は本の一番最後に置かれており、書簡のタイトルや冒頭の日付などが省略されている。

こうした予言集のテクストのマテリアルの構成、すなわち増補の流れを見ていくとやはり1627年版→1630年版→1605年版(おそらく実際は1649年)と考えるのが自然ではないか。