新春お好み将棋対局2007/01/03 18:01

年末、年始は札幌のほうに滞在していた。昨日、夜戻ってきてからビデオでお好み将棋を見たのでその感想を記す。
http://www.shogi.or.jp/osirase/0701_tv.html
この企画自体はお正月らしく遊び心もあり、なかなか斬新でおもしろい。多数決将棋なるものは初めて見たが、テレビを見るほうも一手一手一緒に考えられるので楽しめた。ところが見ていて気になった点も多い。まず解説者の森内名人がまったく面白みに欠ける。渡辺竜王あたりを起用したほうがもっと盛り上がったことだろう。

一番問題なのはそのメンバーの選定である。この企画にベテランの清水、中井、斎田のチームというのは違和感がある。さらに女流名人の矢内のいるチームが予選というのも本来はありえないはず。しかも各チームのキャプテンが明確になっていない。個人的な見方をすれば、チームAを矢内、千葉、石橋とし、チームBを甲斐、中村、島井、チームBを岩根、村田、里見として聞き手に中井か清水を置くとバランスがいいように思う。

NHKとしてはこういった新春のお好み対局に名前の知れていない女流棋士を出場させることに抵抗があるかもしれないが、若手タイトルホルダーVS関東、関西の若手としたほうが対抗図式がはっきりするし現在の女流棋界をPRするのにもってこいと思うのだが。そのためには聞き手はベテランの女流棋士がきちんと勉強して出てくるべきであろう。はっきりいって出場のついでに聞き手をした甲斐は役不足であったのは否めない。

近い将来、独立した団体としてやっていくのであればいかに各々の女流棋士に付加価値をつけて売り出すかが重要になる。少なくとも事務方に専門の広報担当を置く必要があろう。聞き手の清水も内輪で受けるような話し方はいらない。視聴者がどういったことが聞きたいのか、お好みとはいえ普段テレビで対局する機会の少ない女流のアピールにNHKの全国放送を活用しきれていない感じがして少々残念であった。

1557年向け暦書2007/01/04 01:10

CURAのページをチェックしたら昨年末に読者へ2007年の新年プレゼントとのコメントを添えて「コーパス・ノストラダムス41」がアップされているのに気づいた。
http://cura.free.fr/dico-a/612B-alm1557.html
中身は1556年にパリで印刷された「1557年向け暦書(アルマナ)」の校訂テクストである。この原本は唯一ダニエル・リュゾのプライベート・ライブラリーに保管されていた。ノストラダムス・ライブラリーNo.12にファクシミリが登録されている。もともとアルマナは今日の雑誌の先駆けのようなもので再版されることなく読み捨てられていた。

そのためノストラダムスが執筆したアルマナ(暦書全般)がすべて現存しているわけではなく、失われてしまったものも数多い。秘書のシャヴィニィは予言者の死後できる限り暦書類を収集し、1589年「ミシェル・ノストラダムス師の散文の予兆選集」という手稿にまとめた。1999年にはシャヴィニャール教授がその一部のテクストを著書に収録している。アルマナは予言集とは担っている役割が異なり、実用的な暦の形態とともに各月の初めに四行詩を添えている。散文形式の予言には占星術の引用も多い。

冒頭に1556年1月13日付けのフランス国王王妃のカトリーヌ・ドゥ・メディシスに宛てた献呈書簡が置かれている。これは1555年夏にノストラダムスが国王夫妻と謁見してからおおよそ5ヶ月後にあたる。興味深いことに今年(1556年)から1559年に星が幾つか苦難を示しているのを発見したと書かれている。ただし1559年のアンリ二世崩御を暗示するような文章は見られない。ギナールの示した校訂テクストにより、暦書にどのような記事が載っていたのか、具体的に読むことができるので興味のある方は参照いただきたい。

アラビア科学の歴史2007/01/06 10:23

ダニエル・ジャカール『アラビア科学の歴史』 吉村作冶監修 遠藤ゆかり訳 創元社

これまでは主にルネサンスの時代を中心として歴史物を読んできたのだがヨーロッパの知の源泉としてアラビア科学は無視できない。自分も最初は誤解していた。ヨーロッパの知は古代ギリシャからローマと受け継がれて暗黒の中世にはカトリックの影響でスコラ哲学が主流となっていて、15世紀に古代ギリシャの文献が翻訳されるようになって文芸復興が起ったのだと。これが一般的なイメージかもしれない。

実際には古代ギリシャの知は東ローマ帝国のビザンティンを通じてイスラム化したアラブ世界と融合し発展していったのだ。その一部はアラビア語の文献を翻訳した形でヨーロッパに入り込んでいった。これを十二世紀ルネサンスと呼ぶ。そして15世紀イタリアのフィレンツェでマルシリオ・フィチーノが古代ギリシャ・ローマの手稿本をラテン語に翻訳したことで、知識人が原典と直接向き合うようになった。

中にはオカルトの叡智に関する文献も含まれており新プラトン主義の影響を受けているものも少なくない。ノストラダムスの予言集もこの辺りの亜流に位置するものではないかと考える。ノストラダムスがより所とした占星術は実はアラビア起源の天文学でだったことが明らかになっている。蔵書にアル・カビジのラテン語訳があったのは良く知られている。アラビアの占星術については『アラビア科学の歴史』83頁に簡潔にまとめられている。

プトレマイオスの『テトラビブロス』などのギリシャの伝統とイスラム以前の中東の伝統、ペルシャやインドで記録された知識を集大成したものという。特にアブー・マーシャルに代表される流派は歴史を理解するために占星術を利用していた。長い年月をかけて周期的に反復する天体に関する理論(すなわち合)は人間と宗教の運命を説明するものとして位置づけられた。16世紀フランスでもチュレルやルーサらはその系譜に連なり、ノストラダムスも孫引きした可能性が高い。

カウンターの設置2007/01/07 16:28

これまでは試行での公開だったが、今後このブログを正式にリリースしようかと思うので一応カウンターを設置し、アクセス解析の機能も追加してみた。最初にアサブロの機能にあるかと思い探してみたがASAHIネットではサポートしていないようだった。他のブログを参照すると「ツールバーレイアウト」でメッセージを追加して「ツールバー設定」でレンタルのカウンターのHTML形式で記述することで設置できることがわかった。

これまでは「ノストラダムスサロン談話室」の掲示板にしかアドレスを公開していなかったが、正式リリースにともないアサブロのディレクトリにも登録した。もっとも内容は筆者の日々の雑感を記しただけなので、タイトルを見ただけではどんなことが書かれているか予想するのも難しいだろう。自分ではメモ代わり程度に利用するつもりなのでそれほど多くの読者もないだろうから言葉足らずでマニアックな表記も許していただければと思う。

そのついでに「ノストラダムスサロン」のリンクも貼り、同様にアクセス解析も追加した。最近はありがたいことにフリー百科事典のウィキペディアの「ノストラダムス」の項でリンクを貼っていただいたので、そちらからどの程度の人数がHPを見に来ているのか気になっていた。もともと個人の趣味のHPに過ぎないのだが、不特定のかたがウィキペディアから見にこられるのであれば、あまりいいかげんな記事を載せるのもどうかと思い、できる限りフォローしていきたい。

SWOT分析2007/01/07 22:01

マーケティングの初歩的な分析ツールにスウォットというのがある。ウィキペディアの英語版にその解説があるが日本語版ではまだ独立した項目にはなっていない。SWOT分析はビジネスのみならず様々なプロジェクトに対しても有効である。プロジェクトでいかに効果的な戦略を練っていくか、そのためにはゴールあるいは目的を明確化しなけらばならない。それを実現するために組織内の強み、弱みと外部の機会と脅威を棚卸しする必要がある。これをそれぞれの頭文字を取ったSWOT分析という。どうすれば強みを発揮できるのか、弱みをカバーできるか、便宜に乗れるか、脅威に対する防御を取れるか、一度自問自答してみることだ。

http://en.wikipedia.org/wiki/SWOT_analysis

具体的に何をポイントとするべきか。SWについては、資源(財政、知的財産、場所)、顧客サービス、競争での優位、インフラ、品質、スタッフ、管理体制、価格、納期、原価、能力、基幹顧客との関係、市場におけるブランドと評判、とある。OTについては、政策/法規、市場トレンド、経済状況、投資家の期待、テクノロジー、一般の予想、競合者と競合行動、が一例として挙げられている。こうした分析に基づき組織を客観的に評価して戦略目標の抽出を図る。実際にはこれらを各分野に分けたマトリックスに落として将来を見通す目安にしながら位置決定を行うのだ。

今、将棋界では名人戦の契約問題や女流棋士の独立問題などの新しいプロジェクトが進んでいる。当然理事会もこういった分析を行っていることだろう。将棋連盟はいったい誰を顧客と見なしているのか、直接は新聞社だろうがその後ろには将棋ファンがいるはず。筆者も一応連盟の支部会員ということになっているが、そこから得られるメリットは皆無といってもいい。送られてくるのは会員証、名簿、手帳と薄いパンフレットだけ。支部会員というのは連盟にとって一番の優良顧客であるはずだが、まったくといっていいほどサービスの提供がなされていないように思える。これからは棋戦の契約金とは別に普及協力金がもらえるとのことなのでどのように活用していくのか注目していきたい。