第61期王位戦第六局は再度の相穴熊戦に ― 2010/09/02 01:42
http://live.shogi.or.jp/oui/
第五局の千日手指し直しの深夜に及ぶ激戦を制して王位奪取に王手を掛けた広瀬、これまで幾度も王位戦でピンチを乗り越えてきた深浦。注目の第六局の一日目が終了した。中継サイトで棋譜を並べてみるとやはりというべきか、ここで決めたい広瀬は主力戦法の振り飛車穴熊を投入する。深浦も第四局で相穴熊の距離感に手応えを感じたはずですらすらと既成の手順を踏襲していく。それにしても昼食休憩の時点で中盤戦突入とは、二日制のタイトル戦では進行が異常に早い。特に深浦は時間をほとんど使わずどんどん指してくる。絶対落とせない一番に備えて序盤研究は万全といったところか。いくら広瀬の穴熊戦の終盤力がすごいといっても持ち時間が残ってれば勝ち切れると踏んでいるのかもしれない。
昼食休憩の時点では先手陣は金銀四枚のガチガチの居飛車穴熊、後手の穴熊は5筋と6筋に手数を掛けている分、完成まであと2手必要となる。つまり互角に飛車角を交換するような展開になれば後手の金銀への当たりがキツイので先手が優勢になりやすい。逆に広瀬得意の馬を急所に配置して5筋6筋の上からから攻める展開になれば後手が良くなる。飽和状態の先手は43手目▲2四歩から戦いに入っていった。この辺はまだ研究範囲内のはずだ。55手目▲4四角と桂取りに打った手が主眼の一手か。これで先手が良くなればわかりやすい。それこそ従来の居飛穴と振り穴では居飛車側が有利という差があからさまに出てしまう。後手は5筋にと金を作り桂損を甘受するが飛車当たりなので後手を引くのが辛そうに見える。
居飛車側からは2筋を伸ばしてと金を作るがわかりやすい。後手は受けにまわるか攻め合いに活路を見出すか、方針をはっきり決める必要がある。封じ手の局面は角を打った手に対して飛車を逃げたところ。普通に△1九角成と香車を取るのは▲3二馬で飛車を取られてしまう。となればプロの予想する△7二金上が考えられる。自分の実戦だったら△5二銀と歩を払っておきたい。明日の終盤戦が見ものである。
第五局の千日手指し直しの深夜に及ぶ激戦を制して王位奪取に王手を掛けた広瀬、これまで幾度も王位戦でピンチを乗り越えてきた深浦。注目の第六局の一日目が終了した。中継サイトで棋譜を並べてみるとやはりというべきか、ここで決めたい広瀬は主力戦法の振り飛車穴熊を投入する。深浦も第四局で相穴熊の距離感に手応えを感じたはずですらすらと既成の手順を踏襲していく。それにしても昼食休憩の時点で中盤戦突入とは、二日制のタイトル戦では進行が異常に早い。特に深浦は時間をほとんど使わずどんどん指してくる。絶対落とせない一番に備えて序盤研究は万全といったところか。いくら広瀬の穴熊戦の終盤力がすごいといっても持ち時間が残ってれば勝ち切れると踏んでいるのかもしれない。
昼食休憩の時点では先手陣は金銀四枚のガチガチの居飛車穴熊、後手の穴熊は5筋と6筋に手数を掛けている分、完成まであと2手必要となる。つまり互角に飛車角を交換するような展開になれば後手の金銀への当たりがキツイので先手が優勢になりやすい。逆に広瀬得意の馬を急所に配置して5筋6筋の上からから攻める展開になれば後手が良くなる。飽和状態の先手は43手目▲2四歩から戦いに入っていった。この辺はまだ研究範囲内のはずだ。55手目▲4四角と桂取りに打った手が主眼の一手か。これで先手が良くなればわかりやすい。それこそ従来の居飛穴と振り穴では居飛車側が有利という差があからさまに出てしまう。後手は5筋にと金を作り桂損を甘受するが飛車当たりなので後手を引くのが辛そうに見える。
居飛車側からは2筋を伸ばしてと金を作るがわかりやすい。後手は受けにまわるか攻め合いに活路を見出すか、方針をはっきり決める必要がある。封じ手の局面は角を打った手に対して飛車を逃げたところ。普通に△1九角成と香車を取るのは▲3二馬で飛車を取られてしまう。となればプロの予想する△7二金上が考えられる。自分の実戦だったら△5二銀と歩を払っておきたい。明日の終盤戦が見ものである。
第51期王位戦第六局は広瀬が勝ち、新王位誕生 ― 2010/09/06 22:55
http://live.shogi.or.jp/oui/
王位戦第六局から少し経ってしまったが、広瀬が千日手指し直し局を制してタイトル戦初登場で奪取という快挙を成し遂げた。第五局、第六局はいずれも千日手指し直しとなったが、集中力を切らさずにいずれも終盤の捻り合いを競り勝った。その投了図(上図)を見ても激闘の跡が伺える。広瀬の勝因は徹底的に得意戦法の振り飛車穴熊で押し切ったこと。これが若さの勢いというものなのだろう。初めてのタイトル戦挑戦での栄冠というのは最近ではあまり記憶にない。細かく調べたわけではないが、丸山の名人獲得以来となれば10年ぶりのこととなる。これまでタイトル戦は羽生世代とその少し下の世代が中心で20代では渡辺が孤軍奮闘していたが、ようやく若手が風穴を開けた。振り返るとリーグ戦、挑戦者決定戦、タイトル戦とあれよあれよという間に勝ち進んでいった。
将棋界には他にも20代の有望な若手がひしめいている。しかしタイトル戦は山崎が王座戦登場したくらいで挑戦者になるのが大変だ。永世竜王の渡辺でさえ他のタイトル戦に出ることができず苦しんでいる。そのなかでどうして広瀬がトップ棋士を連破してタイトルを取ることができたのか。得意戦法の振り穴が大きな原動力になったのは間違いない。しかし、なんといっても穴熊戦での終盤力の強さであろう。千日手局も封じ手のあたりは玉形が乱れて後手が不利と思えたが、なんだかんだと勝負形にし、最後はクリンチに持ち込んだ格好だ。指し直し局は広瀬の振り穴に対して深浦の銀冠となったが終盤が実にスリリングであった。深浦が底力を発揮して一時逆転かと思われたが、広瀬が1分将棋のなか正確な読みで乗り切ったのは驚くしかない。第五局、第六局と4局分を指して、力で深浦をねじ伏せた感が強い。
広瀬新王位の誕生で将棋界は新時代に突入したといってもいい。この流れに乗ってさらに20代のタイトルホルダーが出てくるか。40歳を迎えようという羽生世代が壁となって立ちはだかるのか、今後の展開も目が離せない。次のタイトル戦は渡辺vs羽生の重量級対決となる。今期調子の上がらない渡辺が最強の挑戦者を迎えて踏ん張れるか、再びフィーバーになりそうな予感がする。
王位戦第六局から少し経ってしまったが、広瀬が千日手指し直し局を制してタイトル戦初登場で奪取という快挙を成し遂げた。第五局、第六局はいずれも千日手指し直しとなったが、集中力を切らさずにいずれも終盤の捻り合いを競り勝った。その投了図(上図)を見ても激闘の跡が伺える。広瀬の勝因は徹底的に得意戦法の振り飛車穴熊で押し切ったこと。これが若さの勢いというものなのだろう。初めてのタイトル戦挑戦での栄冠というのは最近ではあまり記憶にない。細かく調べたわけではないが、丸山の名人獲得以来となれば10年ぶりのこととなる。これまでタイトル戦は羽生世代とその少し下の世代が中心で20代では渡辺が孤軍奮闘していたが、ようやく若手が風穴を開けた。振り返るとリーグ戦、挑戦者決定戦、タイトル戦とあれよあれよという間に勝ち進んでいった。
将棋界には他にも20代の有望な若手がひしめいている。しかしタイトル戦は山崎が王座戦登場したくらいで挑戦者になるのが大変だ。永世竜王の渡辺でさえ他のタイトル戦に出ることができず苦しんでいる。そのなかでどうして広瀬がトップ棋士を連破してタイトルを取ることができたのか。得意戦法の振り穴が大きな原動力になったのは間違いない。しかし、なんといっても穴熊戦での終盤力の強さであろう。千日手局も封じ手のあたりは玉形が乱れて後手が不利と思えたが、なんだかんだと勝負形にし、最後はクリンチに持ち込んだ格好だ。指し直し局は広瀬の振り穴に対して深浦の銀冠となったが終盤が実にスリリングであった。深浦が底力を発揮して一時逆転かと思われたが、広瀬が1分将棋のなか正確な読みで乗り切ったのは驚くしかない。第五局、第六局と4局分を指して、力で深浦をねじ伏せた感が強い。
広瀬新王位の誕生で将棋界は新時代に突入したといってもいい。この流れに乗ってさらに20代のタイトルホルダーが出てくるか。40歳を迎えようという羽生世代が壁となって立ちはだかるのか、今後の展開も目が離せない。次のタイトル戦は渡辺vs羽生の重量級対決となる。今期調子の上がらない渡辺が最強の挑戦者を迎えて踏ん張れるか、再びフィーバーになりそうな予感がする。
第58期王座戦第一局は羽生が勝って連勝記録を17に伸ばす ― 2010/09/12 10:23
http://live.shogi.or.jp/ouza/
王座戦18連覇と途轍もない強さを誇る羽生に対して、久しぶりのタイトル戦となる藤井。両者の対戦では過去に竜王戦での激突が印象深く記憶に残っている。当時の藤井は四間飛車の藤井システムを駆使して将棋の戦法に革命を起こしていた。現在、藤井システムは居飛車の対策が進んでどうも旗色が悪くなってしまった。本家の藤井も一時封印しているかのようである。今回のタイトル戦で序盤の戦略家である藤井がどのような作戦を取るか注目が集まった。将棋ファンとしては新しい藤井システムのお披露目なぞとつい期待してしまうが、プロの将棋ではそんな簡単にはいかないようだ。第一局は後手番となり四間飛車から角交換型の力戦振り飛車へと進んでいった。これは最近の藤井がよく採る作戦のようだ。
14手目△3五歩が藤井の工夫。これに対して▲4六歩が羽生の突っ張った指し方。本来相手の飛車の筋を突くとお手伝いになりそうなもの。ここから双方飛車先の歩を交換し一触即発の局面に突入していく。本来振り飛車は玉を美濃囲いに深く囲ってから捌きを狙うというのが常道だが、本譜は大駒が飛び交う将棋になってしまい玉の整備が間に合わない。やむを得ず26手目△6二金と締まったがこんな弱い陣形では終盤の寄せ合いで勝ち切れる感じがしない。羽生の指し手は緩急を織り交ぜて自然体である。36手目の△4五桂は無理やり跳ねさせられた感じで目標になってしまった。42手目△1九とが敗着という。一本△3五歩だったというがそれでも互角以上にはならない。以下は▲3四桂の両取りが激痛で先手の羽生が手堅く押し切った。
次の先手番はニュー藤井の矢倉早囲いが見られそう。果たして序盤の作戦でうまく羽生からリードを奪えるか。実は自分の将棋は藤井と将棋の考え方が似ていると思う時がある。藤井システム自体は鑑賞用の将棋で自分で指すことはなかったが、新戦法はいわば藤井システムの中飛車版なのである。相手がどのように指しても自分の指し手のネットワークができているというのは、持ち時間の短いアマの大会では心強い。そのお手本として藤井には是非このタイトル戦で新しい序盤戦略を示してほしいものだ。
王座戦18連覇と途轍もない強さを誇る羽生に対して、久しぶりのタイトル戦となる藤井。両者の対戦では過去に竜王戦での激突が印象深く記憶に残っている。当時の藤井は四間飛車の藤井システムを駆使して将棋の戦法に革命を起こしていた。現在、藤井システムは居飛車の対策が進んでどうも旗色が悪くなってしまった。本家の藤井も一時封印しているかのようである。今回のタイトル戦で序盤の戦略家である藤井がどのような作戦を取るか注目が集まった。将棋ファンとしては新しい藤井システムのお披露目なぞとつい期待してしまうが、プロの将棋ではそんな簡単にはいかないようだ。第一局は後手番となり四間飛車から角交換型の力戦振り飛車へと進んでいった。これは最近の藤井がよく採る作戦のようだ。
14手目△3五歩が藤井の工夫。これに対して▲4六歩が羽生の突っ張った指し方。本来相手の飛車の筋を突くとお手伝いになりそうなもの。ここから双方飛車先の歩を交換し一触即発の局面に突入していく。本来振り飛車は玉を美濃囲いに深く囲ってから捌きを狙うというのが常道だが、本譜は大駒が飛び交う将棋になってしまい玉の整備が間に合わない。やむを得ず26手目△6二金と締まったがこんな弱い陣形では終盤の寄せ合いで勝ち切れる感じがしない。羽生の指し手は緩急を織り交ぜて自然体である。36手目の△4五桂は無理やり跳ねさせられた感じで目標になってしまった。42手目△1九とが敗着という。一本△3五歩だったというがそれでも互角以上にはならない。以下は▲3四桂の両取りが激痛で先手の羽生が手堅く押し切った。
次の先手番はニュー藤井の矢倉早囲いが見られそう。果たして序盤の作戦でうまく羽生からリードを奪えるか。実は自分の将棋は藤井と将棋の考え方が似ていると思う時がある。藤井システム自体は鑑賞用の将棋で自分で指すことはなかったが、新戦法はいわば藤井システムの中飛車版なのである。相手がどのように指しても自分の指し手のネットワークができているというのは、持ち時間の短いアマの大会では心強い。そのお手本として藤井には是非このタイトル戦で新しい序盤戦略を示してほしいものだ。
フランク・スタッカートの『1999年8月』 ― 2010/09/19 21:15
ノストラダムス雑記帳のブログで紹介のあった、フランク・H・スタッカートの著書"August 1999"(1999年8月)が届いた。1978年刊行の割には保存状態は良好なハードカバーである。まだ細かく読んではいないが予想していたのとは少々違っていた。ニューヨークで出版されたというのでノストラダムスの予言解釈の背景として想定していたのはアメリカで出版された本だった。本の最後に参考文献が挙げられているがノストラダムス関連書は、アレクサンデル・ツェントゥーリオの『ノストラダムス、世界史の予言者』(1953)とジェームズ・レイヴァーの『ノストラダムス』(1952)、ルドルフ・プッツエンの『ノストラダムス』(1958)しかない。一応ノストラダムス予言集1568年と1668年が載っているが、ドイツで刊行された予言集の復刻版に他ならない。前者がエルンスト・クラフト、後者がリヒャルト・シコウスキーによるものだ。アメリカのオカルトブームと連動したノストラダムス現象の系譜への位置づけという狙いは見事に外れたといってよい。
参考文献もドイツ語と英語のものだけでフランス語の文献はない。ここからSTUCKERTという名前も、本来ならドイツ語読みしてシュトゥケルトとするのが妥当かもしれない。1978年の刊行であるが、1973年のエリカ・チータムの解釈本などはまったく参照されていない。序章で言及のあるハル・リンゼイの"The Late Great Planet Earth"(1970)は邦訳で『地球最後の日』(湖浜馨訳)が1973年に刊行されている。その内容は主に聖書の預言から未来を予測したもので、12章では第三次世界大戦のシナリオを論じている。本書は聖書の預言をノストラダムス、ケイシーやジィクスン夫人ら予言者の言葉と重ね合わせて分析を試みている。本文中にはノストラダムスの予言の引用が少なからずあるものの細かい検討を行った形跡は見られない。日本ではフェニックス・ノアの『神の計画』(1974)が先駆けて聖書と予言者たちの予言との関連性について論じている。これが高橋良典著『大予言事典悪魔の黙示666』(1982)に受け継がれたといえるだろう。
題名にある「1999年8月」とはどこから来たのであろうか。スタッカートのいう「1999年8月」は、1999年8月11日に起きる日蝕をノストラダムスの1999年7の月と結びつけたもの。そのとき天には太陽、土星、天王星、火星のクロスが見られ、これがレアな配列なのだという。、これはツェントゥーリオの『ノストラダムス予言世界史』(1977)の55頁以下の引き写しに過ぎない。この本にはご丁寧にホロスコープも作成されており一目でわかる。スタッカートのノストラダムス解釈はヴェルナーから始まるドイツの解釈家の系譜に置いていいだろう。今となってはスタッカートの描いたシナリオは単なる絵空事に過ぎないと一笑に付すことができるが、当時は米ソ冷戦の真っ只中、現実の脅威として共感する者が続いたとしても不思議ではない。
参考文献もドイツ語と英語のものだけでフランス語の文献はない。ここからSTUCKERTという名前も、本来ならドイツ語読みしてシュトゥケルトとするのが妥当かもしれない。1978年の刊行であるが、1973年のエリカ・チータムの解釈本などはまったく参照されていない。序章で言及のあるハル・リンゼイの"The Late Great Planet Earth"(1970)は邦訳で『地球最後の日』(湖浜馨訳)が1973年に刊行されている。その内容は主に聖書の預言から未来を予測したもので、12章では第三次世界大戦のシナリオを論じている。本書は聖書の預言をノストラダムス、ケイシーやジィクスン夫人ら予言者の言葉と重ね合わせて分析を試みている。本文中にはノストラダムスの予言の引用が少なからずあるものの細かい検討を行った形跡は見られない。日本ではフェニックス・ノアの『神の計画』(1974)が先駆けて聖書と予言者たちの予言との関連性について論じている。これが高橋良典著『大予言事典悪魔の黙示666』(1982)に受け継がれたといえるだろう。
題名にある「1999年8月」とはどこから来たのであろうか。スタッカートのいう「1999年8月」は、1999年8月11日に起きる日蝕をノストラダムスの1999年7の月と結びつけたもの。そのとき天には太陽、土星、天王星、火星のクロスが見られ、これがレアな配列なのだという。、これはツェントゥーリオの『ノストラダムス予言世界史』(1977)の55頁以下の引き写しに過ぎない。この本にはご丁寧にホロスコープも作成されており一目でわかる。スタッカートのノストラダムス解釈はヴェルナーから始まるドイツの解釈家の系譜に置いていいだろう。今となってはスタッカートの描いたシナリオは単なる絵空事に過ぎないと一笑に付すことができるが、当時は米ソ冷戦の真っ只中、現実の脅威として共感する者が続いたとしても不思議ではない。
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