コラン・ド・ラモールのノストラダムス研究書2009/11/05 23:44

コラン・ド・ラモールは1925年1月"Les Merveilleux Quatrains de Nostradamus Medecin-Astrologue des Rois Henri II, Charles IX et Henri III"(国王アンリ二世、シャルル九世、アンリ三世の医師兼占星術師ノストラダムスの驚異の四行詩集)をナントで出版している。ラモールの肩書はヘルメス学の博士とあり、一見学術的にも見える。以前に『ノストラダムスによって1555年に見通された1914-1918年の戦争』という本も出している。本書は352頁の重厚なものだが、その構成が面白い。19世紀のル・ペルティエの二巻本を一冊にまとめたような体裁で一応すべての四行詩の原文を掲げている。冒頭にノストラダムスの伝記、予言の方法、ノストラダムスの出版業者、ノストラダムスの門徒たちと続き、四行詩のテクストが来る。解説部分はほとんどが旧聞の説に従っている。

ノストラダムス予言集の10巻の百詩篇のうち同書で注釈を行っていないテクストが37頁から122頁まで。セザールへの序文とアンリ二世への書簡も収録されている。四行詩は一応ナンバー順ではあるが一部歯抜けになっている。各巻の末尾には抜けている四行詩のナンバーとインデックスをつけているので参照しやすい。「ノストラダムスの鍵」では予言詩の読み方をレクチャーしてくれる。「過去の四行詩の注釈」では頁のヘッダーの部分に四行詩のテーマを書き入れている。ラブレー、メアリー・スチュアート、アンリ二世、レパントの戦い、・・・など。古の予言では、ノストラダムスと同時代人のチュレルやルーサの予言を取り上げたり、マラキの法王予言など関連のありそうな事項を扱っている。未来の予言編には四行詩の原文と簡潔な解説が載っている。過去編同様ヘッダーに見出しがついているのでテーマを追いやすい。

問題の10-72はもちろん未来編に組み込まれている。残念ながら註釈は単なる現代語訳に過ぎない。1999年七番目の月に天から恐怖をまき散らす王がやって来てアンゴルモア(アングレーム?)の大王を甦らせる。見出しには、アンテクリストが偉大な王を甦らせるとある。ここから恐怖の大王をアンテクリストと見なしていることがわかる。次の10-74では、アンテクリストが七番目の大きな数が満了するとき(2000年)に登場、しかしアンテクリストとシナゴーグは終焉を迎える。最後に結論、巻末にノストラダムスの語彙が載っている。語彙集にアンゴルモアの項目はない。ざっと見ではル・ペルティエのものをベースにしている。研究書としてはまとまっているが、参考文献が載っていないのが不満である。

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