ヘンリー・ミラーとノストラダムス2009/10/23 23:26

最近、ジャン・シャルル・フォンブリュヌの"Henry Miller & Nostradamus"1994, Editions du Rocher (ヘンリー・ミラーとノストラダムス)という本を入手した。本のことは以前から知っていたが、内容に関しては未見であった。『新釈ノストラダムス』20頁には、父マックス・ド・フォンブリュヌが1953年にヘンリー・ミラーと出会った話とともに書簡のやりとりしていたことが書かれている。そのなかでミラーは随分と仰々しくフォンブリュヌ博士を持ち上げている。「・・・あなたは言葉少なに森羅万象を解明する才能をお持ちだ。驚くべき才能ですよ、確かに。」「あなたのお仕事、解釈者としての創造を考えるほど、ますますあなたを讃え尊敬せざるをえません。」ヘンリー・ミラーはアメリカ生まれドイツ系、著名な小説家である。フォンブリュヌにとっては、自分の父親と著名な小説家が交遊関係があること自体自慢したかったのだろう。

ミラー本人については、ほとんど知識がないし、小説も読んだことがない。グーグルブック検索で見てみると、ミラーの著作のなかで一部ノストラダムスに言及したものがあるようだ。邦訳があるものかどうか十分な調査はできていない。まず手始めにミラーのテーブルトークを集成したトゥインカ・スィーボード著『回想するヘンリー・ミラー』水声社 2005年12月 を読んでみた。小説と違って軽い読み物なのでさらっと読めるが、ミラーの人となりが知れて面白い。彼は破天荒な小説家で自分のこと、家族のこと、友人のこと、女性のこと、外国人、精神新心理学など、経験を踏まえて多彩なトピックについて語っている。そしてこよなくフランスを愛し、フランスに住んでいたこともあった。図書館で『日本におけるヘンリ-・ミラ-書誌』にもひととおり目を通してみたが、日本でも随分と人気があり一時期集中的に翻訳や研究が出ていたようである。

そんな世界的なビッグネームが1953年7月父親と出会ってテーブルトークしている写真が載っている。そして本の表紙(写真)には、わざわざそこから自分(ジャン本人)とミラーが一緒に写っている箇所を切り取って載せている。若き日のフォンブリュヌ本人は後でちょこっと顔が見える程度、その左にコップを手に酔っ払ったヘンリー・ミラー、右手にはミラー婦人イヴ・マック・クロードがいる。この本の副題には「世界の終りについての対話」とあり、書簡を引用しながらエッセイ風にまとめている。目次を拾うと、予告、1.出会い、2.ミラーとノストラダムス(出会いの前)、3.ミラーとノストラダムス(出会いの後)、エピローグ、参考文献、ヘンリー・ミラー(フランス語の本) 全141頁。時間を見つけて読んでみたいと思う。