いよいよ竜王戦の最終決戦が始まった2008/12/17 23:44

http://live.shogi.or.jp/ryuou/
渡辺の頑張りで3勝3敗、最終局にもつれ込んだ竜王戦もいよいよ雌雄を決するときがやってきた。ここまで来たら両者に永世竜王の称号をあげたいくらいだが、そうはいかない。勝者が脚光を浴び、敗者がその影で涙を呑む、そうした勝負の厳しさが将棋ファンを引き付ける源となる。とにかく両者にとってもの凄く大事な一局であるのは間違いない。直前のインタビューで渡辺が「あと一局だけでいいのでこの調子が続いてくれたら」と本音で答えていたのは気持ちがよくわかる。羽生はこれまで数々の栄光に輝いてきたが、渡辺は初タイトルの竜王を防衛し続けてきて初めて迎えるドでかい勝負なのだ。両者ともここで負けてしまうとこの先永世竜王になるチャンスは二度と巡ってこないかもしれない。

最終局は振り駒で羽生の先手。渡辺は何と第六局と同じ急戦矢倉を選択。二匹目のドジョウを狙ったわけでもないだろうが、傍から見ると意表の作戦である。戦略家の渡辺のこと、この戦型を研究し尽くしていてまだまだ隠し玉の秘手を用意しているのかもしれない。棋譜を並べてみると、第六局と手を変えたのは羽生のほう。これに対して26手目△3三銀と飛先を受けたのが瞠目の一手。5筋の歩を交換したら△5四銀と立つのが普通の感覚である。渡辺はこの手に一局の命運を懸けたといっていいだろう。本譜のように先手は薄い7筋、8筋から攻めてくる。十分予想される展開なので渡辺もこの辺りは想定していたはずだ。羽生は1日目から激しく41手目▲8一歩成と早くもと金を作る。

これに対して渡辺が△5二飛とまわった局面で封じ手となった。先手の次の手は▲9一と以外には考えられない。ここまで局面が激しくなったということはすでにどちらかが優勢になっている可能性が高い。いずれの大局観が勝っているか。明日のネット中継も必見である。