シラクのフランス その22008/01/31 22:52

昨日に引き続いて『シラクのフランス』の話。この本は、ジャック・シラクがフランス共和国大統領に就任した1995年以降の激動のフランス社会を、丹念な取材に基づき丁寧に描いている。1997年の解散総選挙ではシラク率いる与党陣が思いもかけず社会党陣営に大敗してしまった。そのため大統領と首相が対立党派からなるコアビタシオン(保革共存政権)を招いてしまう。今日の日本でも先の参議院選挙で与党が大敗したため、ねじれ国会でバタバタしているのは周知の通り。シラクも同じ悩みを持っていた。失業率が高い中で景気回復のための雇用対策か、はたまた財政赤字の健全化か?シラクは公約だった前者を、欧州通貨統合参加の条件に縛られ、やむを得ず後者に乗り換えた。それが前述の結果を引き起こしたのだが、結果的にはいい方向に落ち着いたと思う。日本も政治家が知恵を出し合って難局を乗り越えてもらいたい。

シラクは2期12年大統領の座にいた。もともと第五共和制では大統領の任期は7年であった。2002年に議会と任期を合わせることになり5年に変えたのだが結果的に大統領の座を2年損したことになる。さて、これだけ長きにわたりフランスの権力の中心にいた人物なら当然ノストラダムスは予言していたはず。予言集のなかに出てくるChyren(シラン)をシラクと読み替えて解釈するのは、エリックスタットの『歴史順に並べたノストラダムスの予言』(1996)で初めて読んだと思う。シラクが大統領となった翌年に出た注釈だが残念ながら外れてしまった。六文字のうち二文字を変更するのはちょっとやりすぎだろう。

通説ではChyrenとはアンリックのアナグラムでアンリ二世を指すとされる。いくらなんでも当時の国王の名前をズバリ書くのは憚られたに違いない。しかし、このアナグラムは16世紀の人々にとって解読は容易で、予言集を読んだ同時代の人はアンリを思い浮かべたことだろう。予言としては当たったとはいえないのだが。きっと誰かがサルコジの予言も見つけてくれるはずだ。楽しみにしている。